デジタル一眼レフ・ミラーレス一眼カメラ用のSDカードの選び方

カメラのSDカードの選び方

デジタル一眼レフ・ミラーレス一眼カメラで撮影した画像を記録するためには、SDカードが必要ですが、SDカードにもたくさんの種類があることをご存知でしょうか。「16GBや32GB」など、容量だけの違いは知っているものの、転送速度や互換性など細かい部分はあまりよく分かっていない… と感じている人も多いかと思います。ここではデジタル一眼レフカメラに使うメモリーカードの選び方やポイント、管理人おすすめのメモリーカードなどをご紹介いたします。

デジタルカメラのメモリーカードはSDカードが主流

デジタルカメラが普及し始めた頃は、各メーカーによってメモリーカードの規格がバラバラだったため、たくさんの種類のカードがありました。

主なメモリーカードの一覧

「そういえばこんなカードもあったなあ」と懐かしんでいるカードも中にはあるかと思いますが、今ではほとんど使われなくなったカードも多くあります。

現在主流で使用されているカードの大半は「SDカード」と呼ばれるもので、ほとんどのコンデジ、デジタル一眼レフカメラ及びミラーレス一眼カメラに採用されています。また、少し大きい「コンパクトフラッシュ」と呼ばれるカードも出回っており、主に高級機のデジタル一眼レフカメラに採用されています。

また、スマートフォンやタブレット端末などの小型電子機器用の保存カードとしては、「マイクロSDカード」が主に使われており、SDカードとは互換性があるため、アダプターにマイクロSDカードを挿入すれば、SDカードとして使用することができます。

実はSDカードには3種類ある

私たちが普段「SDカード」と呼んでいますが、SDカードには大きく3種類あることをご存知でしょうか。大きさは形が全く同じなので、全部をひっくるめて「SDカード」と表現しますが、厳密にはSDカード・SDHCカード・SDXCカードと3種類に規格が分かれています。

SDカードの種類

もともとはSDカードと呼ばれる規格から始まりましたが、高容量化やファイルフォーマットの変更が加わり、2006年にSDHCという規格が登場、更に高容量、高速アクセスが可能なSDXCという規格が2010年に登場し現在に至ります。

2018年には「SDUC」という新たな規格が策定されました。普及するのはもう少し先になりそうですが、最大128TBまでサポートされるようです。

現在の主流はSDHCとSDXCカード

現在デジタルカメラで普及しているカードは「SDHC」と「SDXC」であり、SDカードはとても規格が古く、容量も少ないため現在では流通自体も少なくなっています。

SDメモリーカードの規格はそれぞれ違うため、カメラによっては使えない場合もあります。例えばSDHCカードしか使えない機種は、上位カードであるSDXCカードは使えません。しかしその逆は可能で、SDXCカードが使えるカメラは、下位カードであるSDHCカード、及びSDカードは使用することができます。

おおむね2010年以降に登場したデジタルカメラであればSD・SDHC・SDXCすべて規格のカードが使用可能で、よほど前のデジタルカメラを使っていない限り、心配する必要はりません。

念のため古いカメラを使っている場合は、ご自分のお使いのカメラがどのカードまで対応可能か、仕様や取扱説明書を見て確認しましょう。

SDHCカードは低価格化がすすみ、静止画・HD動画向けにおすすめ

SDHCカードは2020年頃から低価格化が進み、16GB・32GBが1,000円以下で購入できるほど安くなってきています。エントリー向け一眼カメラで、主に静止画やHD動画を撮影するものであれば、後にご説明するスピードクラスが速いものであれば安いSDHCカードでも十分です。

SDXCカードはJPEG連写や、フルHD・4K動画向けにおすすめ

SDXCカードは数年前までは非常に高価なものでしたが、SDHCカードと同じく近年では高容量のものでも価格が下落傾向にあります。64GBで1,500円前後、128GBで3,000円前後で買うことができます。
画素数が高いミドルクラスやハイアマチュアクラスのカメラで、RAW画像でたくさん記録したり、フルHD、4K動画をメインで撮影するなど、こだわった方向けのカードです。

SDメモリーカードの転送速度(アクセス速度)を理解しよう

SDメモリーカードを選ぶ基準として、容量はもちろん大切なのですが、それと同じくらい大切なのが転送速度(アクセス速度)です。

よく家電量販店やディスカウントストアのお買い得コーナーなどに行くと、格安の値段でSDメモリーカードを売っていることがあります。「〇〇GBでこの値段は安い!」と思ってすぐ飛びついてしまったが、それはとてもアクセス速度が遅くて、使い物にならなかった… という話もよく聞きますので、アクセス速度の違いをしっかりと把握しておくようにしましょう。

SDカードの規格が多様化しているため、素人には非常にわかりづらい仕様となっている

近年では速度の表記が複雑化していおり、非常に分かりづらくなっていますので、ポイントをチェックしていきましょう。

上の図が、SDカードに表記されている主な速度や規格に関するものになります。「何でこんなにあるの?」と思われがちですが、SDカードは年々性能が良い(高容量・高速アクセス)ものが登場してくるため、規格も後追いでどんどん追加されていき、今のようになってしまいました。

素人や初心者からみたら「どれを見ればいいの?」と思ってしまうでしょう。

カメラの記録用としては、UHSスピードクラスを見ておけばOK

上の表はSDカードのスピードクラスの一覧表です。1つ1つ掘り下げて確認してみましょう。

スピードクラス

スピードクラスはSDカードが登場し始めたころの最初の規格です。もともとはこれ1種類しか規格はありませんでした。クラス分けは2・4・6・10の4種類で10以上はありません。ですから昔の規格のSDカードに表記されている10と、今の最新のSDXCに表記されている10とでは、同じ10でも雲泥の差があります。それぞれの数字は最低書込保証速度です。

UHSスピードクラス

SDカードのアクセス速度がどんどん速くなり、スピードクラスだけではカンストしてしまうため、新たな規格としてUHSスピードクラスが登場してきました。表記は2種類で、U1とU3です。UHSとはUltra High Speedの略で、U1はスピードクラス10と同等性能、U3はU1の約3倍速の動作保証があります。

デジタル一眼レフ・ミラーレス一眼カメラ用のメモリーカードの選び方としては、UHSスピードクラスを目安に購入するのがおすすめです。U1は主に単発撮影用として、U3はJPEGの連写やフルHD・4K動画までこなせるスペックを持っています。

ビデオスピードクラス

近年では動画においても高画素化が進んでおり、家庭用のビデオカメラや一眼カメラにおいても、フルHD撮影はもちろん、4K撮影も手軽にできるようになってきました。こうなってくると、ビデオの録画に関しても新たな規格を設けなければならなくなり、ビデオスピードクラスというものが登場してきました。V10はスピードクラス10やU1と同等、V30はU1と同等、さらに上のV60やV90もあります。

デジタル一眼レフ・ミラーレス一眼カメラ用のメモリーカードとして使う場合の目安として、ビデオスピードクラスをチェックするのもいいでしょう。V60やV90のほうが安定して動画が撮影できるほか、連射撮影も連続撮影枚数が増えるなどメリットが多くあります。

UHS規格はあまり気にしなくてOK

UHS規格はⅠ・Ⅱ・Ⅲと3種類あり、UHS-Iは最大104MB/秒、UHS-IIは最大312MB/秒、UHS-IIIは最大624MB/秒まで対応できる(理論値)というもの。厳密に言いますとインターフェースの規格など違う点も多いのですが、初心者が買うカメラ用のメモリーカードとしてはそこまで超高性能な規格のSDカードは不要なので、UHS-Ⅰで十分かと思います。

近年のカメラはUHS-Ⅱに対応したものも出てきていますので、性能のよいSDカードを入れると、RAW連写の連続撮影枚数を伸ばすことができます。

最大読込速度はメーカー独自の数値なので、目安程度に

最近のSDカードには、これらの規格以外に、メーカーが独自に出している最大読込速度を表記していることがあります。ただし、これは保証値ではなくあくまでも最大値であるため、カメラやパソコン、SDカードのリーダーやファイルの種類などによっても変わってくるため、過信しないようにしてください。

それでも指標にはなるため、数値が大きいものほどアクセス速度が速く、価格も高めになっています。最近では300MB/秒に迫る高性能なカードも出てきており、連写枚数が伸びたり、素早くパソコンにアクセスできたりなどのメリットもあります。

では次に、1つ1つのカードの表記をみていきたいと思います。

高性能なSDXCカードの場合

高性能なSDXCカードの場合

上のSDXCカードは、かなり高性能なカードです。ここで見てもらうとすぐ分かると思うのですが、異なる規格がいくつも表記されていますよね。

スピードクラスは10で、表を見てみるとアクセス速度が10MB/秒になっていますが、UHSスピードクラスは3でアクセス速度は30MB/秒以上のはずです、また読込最大速度が95MB/秒になっており、いったいどれが正しいのか分からないですよね。

昔はスピードクラスの規格しかなかったのですが、UHSやビデオスピードクラスは後から追加されていった新しい規格であるため、このような表記になってしまっています。

UHS規格に対応していないカメラであればクラス10で動作しますし、UHS規格に対応しているカメラであればUHS3で動作するという意味です。ビデオスピードクラスはV30となっていますので、4K動画まではこなせるということですね。

ちなみに読込最大速度である95MB/秒は、あくまで最大速度なので、比較の目安程度で考えましょう。

一般的なSDHCカードの場合

一般的なSDHCカードの場合

それでは次に上のSDHCカードを見てみましょう。先ほどより表示がシンプルになっています。スピードクラスが10としか表記されていませんので、これはスピードクラスの規格対応のカメラであれば10で動作するという意味になります。

ちなみに、アクセス速度だけを見ればUHSスピードクラス1と同等ですが、メモリーカードにUHSの表記がされていない場合は動作を保証していないため、例えば「UHSスピードクラス1のカードを推奨」とカメラの説明書に表記されている場合は、必ずU1以上の表記があるカードを選ぶようにしましょう。

静止画の撮影であれば問題ありませんが、フルHD動画の撮影だと少し厳しいかもしれませんし、4K動画は不可です。

今回は「200倍速」と表記されていますが、これは150KBを1倍速と計算したとき、最大で200倍速で読込できるという意味です。150KB×200で30MBとなるため、30MB/秒=200倍速となります。とても速そうに見えますが、先ほどのSDXCカードの半分以下の転送速度ということで、たいして速くもありません。これも目安程度で考えましょう。

格安SDHCカードの場合

格安SDHCカードの場合

上のSDHCカードは、家電量販店やディスカウントストアのワゴン市やお買い得品としてよく売られていましたが、最近では一般的なSDHCカードの低価格化が進み、あまり見かけることも少なくなりました。

この図では更に表示がシンプルになっています。確認できるのはカードの種類と容量、スピードクラスだけですね。スピードクラスが4であることが分かります。アクセス速度が遅く、UHS規格やビデオ規格にも対応していません。この手のメモリーカードはデジタル一眼レフ・ミラーレス一眼カメラの撮影には向きません。

スピードクラスは速いほど何かと有利

SDメモリーカードのスピードクラスは速けれ速いほど何かと有利になります。

まず、スピードクラスが速いほど高速読み書きができるようになるため、連写が快適に行えます。連写にすると短い時間でメモリーカードに記録しなければなりませんが、アクセス速度が遅いとカメラのスペック通りに連写撮影ができません。またフルHDや4Kなど、高解像度で動画を撮影する際にも、スピードクラスが速いほど書き込みエラーが発生しにくく、快適に撮影できます。

また、撮影したデータをパソコンのHDDなどへ保存する際、スピードクラスが速いカードほど短時間でデータを取り込むことができるようになります。特にRAWデータで撮影したデータは容量がとても大きくなりますので、パソコンに取り込むのに長い時間待たなければならないこともあるので注意しましょう。

スピードクラスが速いSDカードと遅いSDカードの比較

※高速アクセスに対応したSDメモリーカードのリーダー・ライターや、USB3.0など高速アクセスに対応したインターフェースが必要です。下記の記事もぜひ参考にしてみてください。

RAWの連写は超ハイスペックなSDXCカードが必要

記録画像がRAWでの連写は相当高いSDカードのスペックが要求される

また記録画像がRAWファイルの場合は、3000万画素クラスで、写真1枚当たり約30MBくらいの容量になります。仮に書き込み速度がUHSスピード3(30MB/秒の最低書込保証)があるSDカードでも、1秒に1枚が記録できるのが精いっぱいです。仮に高速連写で1秒間に10枚撮影してしまうと、データの書き込みはすぐに追いつかなくなります。

カメラには連写で撮影したときに、データを一時的にカメラ内にため込んでおけるバッファという部分があり、そこへ一旦データをためておいて、少しずつSDカードに書き込んでいきます。

しかしバッファも無限ではないので、バッファの容量がいっぱいになってしまうと、それ以上は撮影できなくなります。近年では相当書き込み速度が速いSDXCカードも発売されてきていますが、価格が1万円以上する高級品になるので、RAWで高速連写を頻繁に使う用途以外は、そこまで高いスペックのSDカードは必要ありません。

容量は大きいものを1つではなく、小さいものを複数用意しよう

SDメモリーカードには容量があり、現在よく使われる容量としてはSDHCカードの8GB、16GB、32GBがあります。SDXCカードになると64GB・128GB・・・と続きますが、かなり価格が高くなる傾向があります。

下の表は画素数の違いによる撮影枚数及び動画撮影時間を表したものです。

画素の違いによるSDカードの撮影枚数の目安

画質は最高画質に設定し、画像サイズも最も大きく設定した条件での目安です。デジタル一眼レフ・ミラーレス一眼カメラの入門機は2000~2400万画素程度のものが多いですが、写真を撮影するのであれば16GBもあれば容量は十分と言えます。

「たくさん撮りたい・動画も撮りたい」という方は64GBや128GBの容量が多いSDXCメモリーカードを購入してもよいのですが、容量が小さい16GBや32GBのSDHCメモリーカードを複数持つほうがおすすめです。

大きい容量のSDカードを複数持つより、小さい容量のものを複数もったほうがよい

カード1つで勝負する場合、もしそのカードが現場で壊れてしまったり、調子が悪くなってしまっても予備のカードがなければそこでゲームオーバーになってしまうからです。

また、2400万画素クラスのカメラでRAW撮影したとしても、64GBなら2000枚以上記録できますが、そんなにたくさんの写真を記録しても、どこに何を入れたのか分からなくなり、データの整理が大変になります。小さい容量のものを複数持てば行き先や日時でカードを分けることができますし、リスクの回避にもつながります。

しかし動画をメインで撮影する場合はこの限りではありません。16GBではフルHDでも40分しか撮影できませんので、最低でも64GBのメモリーカードを準備しましょう。

シーンや用途別のおすすめメモリーカード

SDメモリーカードについて長々とお話してしまいましたが、では最終的にどんなSDメモリーカードを買えばいいのかということになりますよね。

ここではシーンや用途別におすすめのメモリーカードをご紹介していますので、購入の参考にしてみてください。最近のSDメモリーカードは故障率も低いため、わざわざ高価な国産のものにこだわる必要はありません。

写真は一枚撮りの静止画が多い人向け

スナップ写真や景色、普段の撮影など、普段の一枚撮りをメインに考えている方は手ごろなSDHCカードで十分です。特にトランセンド社のSDHCカードは価格と性能のバランスもよく、初心者にはおすすめです。近年では低価格化が進んでおり、予備も含めて2~3枚準備しておくとよいでしょう。

JPEG連写撮影やフルHD・4K動画もこなしたい人向け

普段の撮影はもちろん、「もしかすると運動会やスポーツで連写撮影するかも」や「動画を撮るかもしれない」と思う方は、もう一つ上のランクのSDXCカードを準備しましょう。こちらもコスパがよいトランセンド社のSDXCカードのほか、プロやハイアマチュアの人も愛用しているサンディスク社のカードも人気があります。

デジタル一眼レフ・ミラーレス一眼カメラ用のSDカードの選び方 まとめ

  • 現在使用されているカメラの大半はSDメモリーカードが使われている
  • SDメモリーカードにはSD・SDHC・SDXCの3種類がある
  • デジタル一眼レフカメラに使うなら、スピードクラスが10以上のものが必須
  • さらにHDや4K動画を撮影するなら、UHSスピードクラスが3以上のものを選ぶこと
  • 格安で売っているSDメモリーカードは、スピードクラスが小さいものがあるので注意
  • 静止画メインなら16GBあれば十分 容量の大きいカード1枚より、小さいものを複数持つ
  • フルHD動画メインならSDXCカードの64GBの容量は最低必要

SDメモリーカードは容量だけで選んでいる人も多いですが、スピードクラスをしっかり理解できていないと、安物を買って失敗することもあります。上記を参考にメモリーカードの種類や特徴を覚えていただき、メモリーカード購入の参考にしてみてください。

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