カメラにおける段数とは

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カメラや写真撮影の世界では「段」という用語がよく使われます。レンズのレビューサイトや口コミ、レンズを紹介しているサイトや本を見ていると「このレンズを開放から1~2段絞るととても解像感が増す」や、「このレンズは2段相当の手振れ補正機能がついている」など、段数について語られることが多いですが、この1段2段、絞る開けるとはどういう意味なんでしょうか、ここでは段数についてご紹介したいと思います。

カメラの段数とは光の入る量を段階化したもの

カメラの世界では、明るさの単位を示す指標の1つに「段」が使われます。英語では「EV」Exposure Valueと呼ばれており、露出値の単位として使われています。

段数とEVは同じ意味あいで使われることが多く、「1段=1EV」として覚えておくとよいでしょう。

段数とは光の入る量を段階化したものであり、「段数=明るさ」と理解するようにしましょう。

カメラの段数による明るさの違い

段数が上がれば写真の仕上がりが明るくなり、段数が下がれば写真の仕上がりは暗くなります。写真の仕上がり明るさの階段だと思ってもらえればよいでしょう。

1段はどれくらい明るさが違うのか

それでは1段(1EV)は明るさに換算するとどれくらい違うのでしょうか。

下の表は段数と光の入る量を表にしたものです。

カメラの段数と光の入る量の違い

1段プラスすると光の入る量は2倍・1段マイナスは光の入る量が1/2になる

例えば、1段プラスにすると光の入る量は2倍になり、マイナスにすると光の入る量は半分になります。それ以降はそれぞれを2倍・1/2にして計算しますので、例えば5段プラスにすれば明るさは32倍になり、5段マイナスにすれば1/32になります。

段数の変え方は主に3種類あり、それぞれ「絞り」「シャッター速度」「ISO」感度を変えることによって段数を調整し、写真の仕上がりの明るさを調整することができます。

1段開ける・1段絞るとは

シャッター速度とISO感度が固定されていれば、レンズの絞り値(F値)を変えることで、光の入る量を調整し、明るさを変えることができます。

カメラの絞りの変化による段の違い

例えば、F5.6を基準として考えた場合、「1段絞る」と言えばF値を8に、逆に「1段開ける」と言えばF値を4にすればそれぞれ1段ずつ変化させることができます。

カメラの上手な人に「このレンズはもうちょっと絞り込んだほうが画質が上がるから、F5.6から2段ほど絞ってごらん」と言われたら、F値を11にすればいいことになります。

絞りを1段開ければ光の入る量は2倍になり、1段絞れば半分になるのは「段」共通です。

1段遅くする・1段速くするとは

段は、絞りだけではなくシャッター速度を変えることでも変化させることができます。今度はF値とISO感度を固定していると仮定して、シャッター速度の変化による段の違いを考えてみましょう。

カメラのシャッター速度の変化による段の違い

例えば、シャッター速度が15分の1秒を基準として考えた場合、「1段速くする」と言えば速度を30分の1秒に、「1段遅くする」と言えば速度を8分の1まで遅くすれば、同様に1段ずつ明るさの仕上がりを変えることができます。

カメラの上手な人がやってきて「ちょっと仕上がりが明るすぎるから、1/60秒からもう1段遅くしてごらん」と言われたら、シャッター速度を1/30にすればいいことになります。

絞りと同様にシャッター速度を1段遅くすれば光の入る量は2倍になり、1段速くすれば半分になります。

1段感度を上げる・1段感度を下げるとは

最後にISO感度の変化による段の違いもチェックしておきましょう。上記と同様に今度はF値とシャッター速度が固定されたままでも、ISO感度を変えれば段を変えることができます。

ISO感度の変化による段の違い

こちらもISO感度が1600を基準として考えた場合、「1段低く」と言えば感度をISO800に、「1段高く」と言えばISO感度を3200にすれば、同様に1段ずつ明るさの仕上がりを変えることができます。

カメラの上手な人がやってきて「ISO800ではノイズが強く出るから、もう2段くらい低くしたほうがいいよ」と言われたら、ISO感度を200にすればいいことになります。

同様にISO感度を1段高くすれば光の入る量は2倍になり、1段低くすれば半分になります。

明るさを維持するなら、3つの要素のバランスが大切

上記でご説明したように、段は「絞り」「シャッター速度」「ISO感度」でそれぞれ調整できるため、例えば仮に3種類をそれぞれ1段ずつマイナス側に設定してしまえば、トータルで3段分マイナスにした計算になります。

例えば下記の図を基準にして考えてみましょう。

上の表のような条件で写真を撮ってみました。これだとちょうどよく仕上がりました。

次に上の表のようにF値を11にして2段分マイナスにしました。シャッター速度とISO感度はそのままです。写真の仕上がりはどうなるでしょうか?

もちろん2段分マイナスになっているので、写真の出来栄えも当然暗くなってしまいますよね。

では上の表はどうでしょう。F値はF11でマイナス2段分ですが、シャッター速度とISO感度をそれぞれ1段ずつ上がるように調整してみました。結果としてトータルは0になるので、もとの明るさの仕上がりに戻りました。

上記のルールを守れば、上の表のような組み合わせでも最初の基準となる明るさにすることができます。

マニュアル撮影時に同じ写真の明るさを維持させたい場合は、例えばどれかをマイナス修正したら、違う要素でプラス修正をする必要があります。

実際の段数はもっと細かく調整できる

今まで「段」については分かりやすいため1段ずつ解説してきましたが、実際の写真撮影において1段というのはとても幅が広いため、1段を細かく分けて変化できるようになっています。

例えば絞り値の変化を見ると、1段ずつではF2.8⇒F4⇒F5.6⇒F8という具合になりますが、実際にデジタル一眼レフカメラの「絞り優先モード」などを使うと、F値の変化はF2.8⇒F3.2⇒F3.5⇒F4・・・と更に細かい単位でF値を調整できるようになっています。

これは、調整の幅を1段刻みにしてしまうと、変化が大きくなりすぎてしまうため、ほとんどのカメラは3分の1段ずつ調整できるようになっています。

3分の1段ずつの変化の違い

「1/3EV開放する」と言えば、F値を3分の1だけ小さくするという意味で、F4ならF3.5にします。また、「2/3段ISO感度を上げてください」と言われたら、今の感度がISO100であれば、ISOを160にすればOKです。

段数は「絞り値」「シャッター速度」「ISO感度」で3分の1ずつ設定ができます。ISO感度は1段ずつ変化できる設定もありますので、設定画面で調整しましょう。

露出補正にも段数が使われる

段のきめ細かなバランス調整はマニュアル撮影モードで気を付ける必要がありますが、プログラムAEモードや絞り優先モード、シャッター速度優先モードでは、露出補正という形で明るさを調整することができます。この露出補正でも「段」や「EV」という単位が使われ、基本は3分の1段ずつ調整が可能です。

露出補正の段数

露出補正では、上の図のように1/3段ずつ調整し、明るさの微調整が行えます。

手ぶれ補正の〇〇段相当とは

手持ち撮影でシャッター速度が遅くなればなるほど手ぶれの発生するリスクが高くなります。これを回避する方法として近年のズームレンズなどには「手ぶれ補正機能」と呼ばれるものがついています。

手ぶれ補正のメカニズムは複雑なのでここでは簡単に説明しますが、レンズとレンズの間に動くレンズを入れて、手ぶれによる衝撃を和らげることができる機能です。

手振れ補正機能の説明には、「1段相当・2段相当」などと表記されていますが、これは表記の段数だけシャッター速度を速くした程度の手振れで度合いで撮影できるという意味です。 例えば2段相当の手ぶれ補正効果があるというレンズでは、実際30分の1の速度で撮影していても、125分の1で撮影しているのと同じだけの効果が得られるということですね。(実際に速度が上がるわけではないので注意してください)

カメラにおける段数とは まとめ

  • 段数は光の入る量を段階化したもの
  • プラス1段で光の入る量は倍になり、マイナス1段で半分になる
  • 段数はF値・シャッター速度・ISO感度の3つでそれぞれ調整できる
  • マニュアル撮影時では、どれかの段を上げたら、どれかの段を下げないと明るさが変化する
  • 段は1段ずつではなく、3分の1段ずつ調整ができる
  • 段は露出補正はもちろん、手ぶれ補正の性能指標にも使われる

このように「段」は各パラメータの調整の幅だと思ってもらえればよいでしょう。EVといえば単に明るさの段階の違いのことを言いますが、絞りやシャッター速度のステップにも段が使われますので、1段の幅の大きさなどを覚えておくと、設定がスムーズです。上記を参考に段について理解を深めておいてください。

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