近年ではコロナ禍も明け、海外旅行も以前に比べると身近な存在になりました。せっかくの海外旅行へ行くのですから、見慣れぬ景色や思い出を一眼レフカメラで写真に収めたいと思う方も多いのではないでしょうか。
ここでは、海外旅行へ一眼レフカメラを持っていく際の注意点やポイントなどをご紹介していきたいと思います。
まずはできるだけコンパクトに機材をまとめることが大事
まず最初に行うことは、海外旅行へ向けてどんな機材をもっていくかを決めることですね。特にレンズがたくさんあると「あれもこれも」と欲張ってしまうと、レンズの交換や持ち運びに疲れるだけです。できるだけコンパクトで軽くなるように機材をまとめましょう。
理想は高倍率ズームレンズを1つだけ、なければ広角レンズを中心に
海外旅行となると、どんな被写体でも対応できるようにと、すべての焦点域をカバーしたくなるものです。そうなると、理想としては1本で広角から望遠まで幅広くカバーできる高倍率ズームレンズということになりますね。
とにかく海外旅行では移動が多く、できるだけ体に背負う荷物の重さをコンパクトで軽くする必要があります。複数のレンズをバッグに入れての移動は体力的にもきついですし、頻繁にレンズを交換していてはせっかくのシャッターチャンスを逃がしてしまう可能性があります。
高倍率ズームレンズであれば、ボディにそれだけ取り付けておけば幅広い焦点距離に対応できますし、邪魔な荷物も少なくて済みます。これを機会に高倍率ズームレンズの購入も検討してみてはいかがでしょう。
高倍率ズームレンズについては、以下のページで詳しく説明していますので、合わせてチェックしてみてください。
高倍率ズームレンズがなければ、超広角・広角を中心にレンズを選びましょう。海外旅行では景色を中心に撮ることが多いため、広い範囲を写せる広角レンズの方が使い勝手がよく、レンズもコンパクトなので持ち運びもしやすいメリットがあります。超広角・広角とレンズは2個程度にとどめるとよいでしょう。
超望遠レンズは明確な目的がない限り海外旅行には向かない
焦点距離が200mmを超えるような超望遠レンズは、海外旅行で「これを撮りたい」という明確な目的がない限り出番がほとんどありません。海外ではどちらかと言うと見慣れぬ景色を広く撮ることが多く、クローズアップする機会が少ないからです。
「もしかしたら撮るかも」という目的で望遠レンズを持って行っても、荷物になるだけなのでよく考えましょう。
海外旅行へカメラのアクセサリは何を持っていく?
三脚は夜景や滝などを撮るのならトラベル三脚を選ぶ
日中の撮影がメインで、基本的に手持ち撮影しかしない場合は三脚は不要です。夜のスナップ写真も、一眼系カメラであれば、ISO感度をある程度上げてしまうことで、手持ち撮影もできるからです。夜景や星空、滝などどうしてもスローシャッターが必要な場合は、とてもコンパクトに持ち運べるトラベル三脚を選びましょう。
通常の3段脚や4段脚の三脚では、移動時に邪魔になりますし、ホテルに置きっぱなしではいざという時に使えません。カメラバッグに忍ばせておくためにも超小型に収納できるトラベル三脚が便利です。トラベル三脚は縮長(折りたたんだ時の長さ)が30センチを切るようなものもあり、バッグの中へでも収納できるのが魅力です。
また、高さが必要なければ卓上タイプのミニ三脚もおすすめです。
クロス・ブロアー・ブラシはコンパクトなものを
お手入れグッズはクリーニングクロスとブロアー、ブラシの3つがあれば事足ります。レンズペンがあればサッとクリーニングできるので便利ですね。できるだけコンパクトなものを選びましょう。
普段使っているものをポーチに入れて持ち運んでもいいですし、トラベル用の便利なクリーニングセットなども発売されています。
メモリーカード・予備バッテリー・充電器は忘れずに
メモリーカードは忘れると詰むので、出発前に必ずチェックするのと、予備のカードは最低1枚以上は準備しましょう。日本国内ならメモリーカードを忘れても、家電量販店やコンビニに行けば調達できますが、海外では買うのも一苦労です。
余裕があれば予備バッテリーも持っていきたいところですが、充電器は忘れずに持っていきましょう。カメラの充電器の大半は100~240Vまで対応しており、コンセントの形状さえ合えば海外でも使用できます。
近年ではUSB充電ができるカメラもあるので、USB-Cケーブルやモバイルバッテリー、USB充電器だけを持っていけば、カメラのほか、スマホやパソコン・タブレットなども一緒に充電できるので、荷物も減らせて便利です。USB充電については、下記でも詳しくご紹介していますので、合わせてチェックしてみださい。
各種レンズフィルターはコンパクトな収納ケースを用意しよう
偏光フィルターや減光フィルターなど、レンズに取り付けるフィルターを持っていく場合は、コンパクトなフィルター収納ケースがあると便利です。
カメラは機内持ち込みを選ぶ
海外旅行で飛行機に乗る際、カメラは必ず機内持ち込みを選びましょう。スーツケースに入れて預け荷物にしてしまうと、雑に扱われたり、ロストバゲージで行方不明になったりするリスクもあります。
できるだけコンパクトな機材選びをしておけば、重量制限に引っかかることもないので、カメラやレンズは機内持ち込みを選ぶようにしてください。飛行機へのカメラの持ち込みについては、下記でも詳しく説明していますので、合わせてご覧ください。
海外では撮ってはいけないものが多くある
日本では当たり前のように撮影できるものも、海外では撮影禁止になっていることが多く、「知らなかった」では済まされてない場合もあるので注意しましょう。
特に軍事施設・宗教施設・空港・湾港などは要注意です。橋や道路・鉄道なども場合によっては撮影を規制される場合があるため、撮影するときは周囲をよく確認しましょう。
海外旅行でカメラを盗難から守るためには
海外ではカメラは盗られるものと思ったほうがいい
CanonやNikon、SONYなどの日本製カメラはブランド力が高く、高値で売れることから非常に狙われやすいカメラです。そのようなカメラをぶら下げて海外をウロウロしていては「盗ってください」と言っているようなものです。常に狙われているという意識を持って行動するようにしてください。
メーカー名を隠したり、カメラをボロく見せる
メーカー名や品番が外からわからないようにするために、マスキングテープを貼って見えなくしたり、レンズやボディにわざとらしく汚いテーピングを施したりして、標的の対象外にさせる方法です。ビニールテープをそのまま貼ってしまうとボディに糊が付着してしまい、後から取るのが大変なので、パーマセルテープを先に貼った上から、ガムテープやビニールテープなどを貼りましょう。
パーマセルテープとは、撮影用の補助テープで、糊が付着しにくい性質の便利なテープです。
Canon系Lレンズは赤いリングがあり「いかにも高級レンズ」をアピールしてしまうので、リングを覆うようにテープをしましょう。レンズキャップにも堂々とメーカー名が載っているので、これらもテープで隠してしまいましょう。
また、メーカー名が記載されている純正のストラップは避けるなど、ぱっと見でわからないようにするのも効果的です。
周辺の環境をよくチェックする
現地に到着したら、周辺の環境をよくチェックしましょう。一般的な観光地で、たくさんの人がカメラを首からぶら下げているような場所であれば、比較的安全と言えますが、街中で治安の悪そうな場所であれば、極力カメラの露出は控え、移動中はカメラをバッグの中に入れておき、撮りたい時だけ取り出して使うようにしましょう。
常に目の届く範囲にバッグを置いておく
海外ではちょっとした隙に置き引きに遭うことも多く、レストランでは座席の横に置いていたり、休憩中にベンチの隣にバッグを置いて目を離した一瞬のうちにやられることも多いです。バッグは常に抱きかかえるようにするなど、目の届く範囲・体に触れている位置に置いておくことが大切です。特に食事中・休憩中・誰かと話しているときなどが要注意です。
他人にカメラを渡さない
海外では「写真を撮ってあげましょうか?」と近づいて来る輩もあり、撮っている隙に他の荷物を置き引きされたり、ひどい場合はそのままカメラを奪われて、バイクで逃げられるなどの被害も報告されています。カメラのほか、iPhoneなどのスマホも要注意なので、知らない人には渡さないように注意しましょう。
撮った写真はこまめにバックアップを
不運にもカメラが盗難や置き引きに遭ったとしても、最悪新しいのを買えば何とかなります。しかし旅の思い出写真は戻ってきません。万が一にために備えて、Wi-Fiでこまめにスマートフォンなどへバックアップを取りましょう。近年の一眼カメラであればWi-Fiが標準搭載されているため、メーカーのアプリと連携させれば、簡単にカメラからスマホへバックアップできます。
防犯グッズの活用を
防犯グッズを取り入れることで、置き引きなどを防止できるほか、「自分は防御している」ことをアピールすることで、抑止力にもつながります。カバンとカメラをワイヤーでつなげたり、カメラバッグのチャックには南京錠を取り付けたり、置き忘れ防止アラームを装着するなど、防犯グッズを活用しましょう。
海外旅行保険は必須 必ず加入しておきましょう
海外旅行保険では、旅行中のケガや病気による入院や治療費などの補償のほか、持っている荷物が盗難(紛失は除く)に遭った際にも補償してもらえる特約がついたものもあります。
カメラのその対象の1つで、プランにもよりますが、1点あたり最大で10万円程度までは補償してもらえる可能性がありますので、ぜひ加入しておきましょう。
クレジットカード付帯の保険も使用できますが、年会費が無料のカードは、条件によっては使えなったり、携行品補償が付帯していないなど、役に立たないケースが多いです。
数日程度の海外旅行であれば、安い掛け金で手厚い補償がある専用の海外旅行保険に入った方が何かと有利なので、ぜひ加入するようにしましょう。
海外旅行へ一眼レフカメラを持っていく際の注意点やポイントまとめ
- カメラとレンズは必要最小限にまとめ、高倍率ズームレンズがあるとよい
- 望遠レンズは明確な目的がない限り、海外旅行には不向き
- 三脚をあえて持っていく場合は、軽くてコンパクトなトラベル三脚を
- クリーニング用具・バッテリー関係・フィルター関係は忘れずに
- 飛行機に乗るときはカメラやレンズを機内持ち込みに
- 現地に着いてからは盗難との闘いになるので、対策を万全に
- 万が一のために海外旅行保険には加入しておく
海外旅行での撮影のコツは、「いかに荷物を少なくし、盗難から身を守るか」です。せっかくの海外旅行も、カメラを盗まれてしまったら台無しです。上記を参考に楽しい海外旅行に出かけてください。