工場夜景の撮影方法・撮り方のコツ(基本編)

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「工場萌え」がすっかり定着し、工場夜景を鑑賞したり、工場夜景スポットに行って楽しむ人が多くなってきました。加えて工場夜景を撮影する人口も増え、SNSなどでも頻繁に紹介されるようになってきました。工場夜景の撮影も基本的には夜景と同じなのですが、いくつか注意点などもありますので、ここでは工場夜景撮影のための準備やマナー、基本的な撮影方法について学んでいきましょう。

工場夜景はどこで撮影できる?

ここ数年、日本のコンビナートなどの工場の煙突、配管、設備などの構造美や、夜間における照明の美しさを楽しむ「工場鑑賞」が流行しています。それらを撮影して楽しむ人も増えており、今まで敬遠されていた工場に新しいブームが到来していますね。

工場自体は日本全国どこにでもあるのですが、夜景が美しい工場となると「製油所」や「化学工場」が密集している大規模な工業地域になりますね。

工場夜景が美しい場所

上の地図は、工場夜景として有名なスポットを9つ紹介しています。小規模なものを含めると、全国にはまだまだたくさんのスポットがありますが、代表的で工業地帯の規模が大きい場所としては、赤で示した9つの地域と言えます。

中でも川崎・四日市・水島は規模が非常に大きく、たくさんの工場夜景観賞スポットがあることから人気があります。

工場夜景はいつ撮影できる?

基本的に大規模な製油所や化学工場は24時間稼働であり、時間や季節に左右せず撮影できるのが工場撮影の魅力の1つです。日中の工場をメインに撮影する人もいれば、日没や夜明け前後のマジックアワー狙い、日がどっぷり落ちてから撮影する人もいます。また年中無休であるた一年中撮影することができるので、手軽に行くことができるのも魅力です。

このほか花火や季節がらの撮影と違い、三脚の場所取り合戦や大勢での撮影という場面はほとんどなく、自分のペースでゆっくり回りながら撮影できるのもメリットの1つです。

季節

大きな工場は無休で稼働しているので年中通して撮影可能です。空気の澄んだ冬のほうが美しく撮影できたり、水蒸気が盛大に出るのでおすすめですが、寒さとの闘いです。春・夏は黄砂や春霞、湿度の影響で空気がどんよりしているため、遠景での夜景撮影には向きません。雨上がりや北風が吹いた湿度の低い日を狙いましょう。秋は比較的空気が澄みやすく、乾燥した日が続くので工場夜景撮影には向いています。

工場夜景が撮れる季節
冬季はこのように水蒸気が盛大に吹き上がり、空気も澄んでいるので寒いですが撮影には向いています。

お正月やゴールデンウイークなどの大型連休も基本的には稼働している(一部休業している場合もあり)ので、連休を利用して県外への遠征もしやすいですね。

天候

工場は天候に左右されず稼働しているため、基本的に晴でも雨でも撮影可能です。あえて雨降りの中のモヤモヤした雰囲気の中で撮影する人もいます。望遠撮影で狙う場合は湿気が多い日や、ガスっている日は向かないので、悪天候の中出かけるのであれば、近距離撮影を狙いましょう。

工場夜景が撮れる天候

雨降りを狙えば吹き上がる水蒸気を狙えますし、雨上がりは水たまりに反射したリフレクションを狙うことも可能です。

時間

夜景撮影なので基本的には夜ですが、夜明け前や日没直後が最も美しいですし、日中のプラントもおすすめです。ロケハンなどを兼ねてカメラを片手に日中も回ってみるといいでしょう。当然冬場のほうが夜が長いので長時間楽しめます。

工場夜景が撮れる時間

夜間を狙ってもよいですし、マジックアワーと呼ばれる美味しい時間に撮影するのも工場夜景撮影の楽しみです。

工場夜景の撮影に現地へはどうやって行く?

街中の夜景スポットと違い、工場夜景は工業地帯がメインとなるため、公共交通が不便な場合があります。最も適しているのは車での移動であり、近くのスポットであればそのままマイカーを乗り付けてスポット周りをするのがよいでしょう。

遠くの場合は現地近くの都市部まで公共交通機関で移動し、レンタカーなどを借りると良いでしょう。

公共交通機関で行く場合は、終電などの時間をあらかじめ調べておき、徒歩で回れるスポットに限定しましょう。人通りの少ない寂しい場所に行くこともありますので、女性の単独行動は避け、できるだけ2人以上で行動すると安心です。

高額にはなりますが、タクシーなどを貸し切って移動する方法もあります。一人だと大変ですが、何人かで一緒に回るのであればその分安く済みます。

また、初めて行くスポットは日中のうちに現地入りしておき、一度下見しておくと安心です。いきなり夜間に行ったことがないスポットに行くと、迷いやすくなるほか、暗いと周りが見えないので穴や障害物などでけがをする恐れもあります。

工場夜景の撮影に必要なもの

工場夜景も夜景撮影の仲間ですが、普段の夜景撮影に必要なものに加え、あると便利なものもご紹介しておきます。(普段の撮影に必要なブロアーやクリーニングクロスなどは持っていきましょう)

カメラ・レンズ・三脚

言うまでもありませんが、工場夜景の撮影で上記3つは必須アイテムです。カメラはデジタル一眼レフ、ミラーレス一眼カメラが望ましいですが、マニュアル撮影のできるコンデジでもOKです。このサイトはデジタル一眼レフ・ミラーレス一眼カメラの解説サイトなので、これらを使用するのを前提で話を進めていきたいと思います。

工場夜景の撮影では、行く場所によってさまざまな被写体があります。遠くを狙う被写体には望遠レンズが必須になりますし、近くから狙う場合は広角レンズも必要です。広角レンズと望遠レンズなど、さまざまな焦点距離のレンズがあるとよいでしょう。

また、スローシャッターが基本になる夜景撮影では三脚は必須アイテムであり、工場夜景スポットは高台や海辺が多いため風の影響を受けやすいことが多いです。できれば中型以上で頑丈三脚を用意するとよいでしょう。

リモートレリーズ・予備のバッテリーなど

カメラに触れずにシャッターボタンが押せるレリーズやリモコンがあると便利です。なければセルフタイマーでも代用可能です。近年のカメラではスマホ連携できるものもあり、スマホでシャッターが切れるものもあります。

このほか夜間の長時間撮影や、ライブビュー撮影をメインで使用する人はバッテリーが1本では持ちません。予備のバッテリーを準備するようにしてください。

ライト・虫よけスプレー・防寒着・カイロなど

工場夜景スポットは、その辺の道路や公園、時には山の中なんていうこともあり、周りに明かりがないことも多いので懐中電灯やライトは準備しましょう。移動時に便利な明るいものと、操作時に手元を照らす小さいものがあると便利です。

季節によっては身を守るものを準備します。山の中や公園など夏場は蚊の影響をモロに受けます。夏場の撮影には虫よけスプレーを持っていきましょう。また、真冬の撮影は体力をもっていかれます。防寒着やカイロなど寒さ対策をしておきましょう。

移動しやすいバッグ・ものを無くさない対策を

工場夜景での撮影は移動も多く、急に荷物を移動しなければならないこともあります。動きやすくてフットワークが効くバッグや服装を用意して、暗い場所で物をなくさないようにしましょう。

工場撮影の準備と設定

撮影スポットに到着したら、三脚を組み立てます。三脚の脚はフワフワせず、できるだけ硬い部分に脚を置いて固定します。風が弱い日ならアイレベル(目線)まで高さを上げてもよいですが、風が強い場合は状況に応じて低くするとブレにくくなります。

撮りたい被写体の大きさに合わせた焦点距離のレンズをカメラにセットし、カメラを三脚に取り付けましょう。

まず、撮影モードは「M」マニュアル撮影に設定します。

工場夜景はマニュアル撮影

手ぶれ補正がついているレンズであれば、手ぶれ補正モードをOFFに、カメラ側で手ぶれ補正機能がついているものは同じくOFFに設定しましょう。フォーカスモードは最初は自動に設定しておきましょう。

撮影の条件ですが、ここではF値はF8程度にし、ISO感度は100~200に設定します。ホワイトバランスやピクチャースタイルは好みになりますので、ご自分の好きな色合いに合わせるとよいでしょう。シャッターモードはレリーズ等を使う場合は単発撮影で問題ありませんが、そのままカメラのシャッターボタンを押す場合は、セルフタイマー2秒に設定しておくとブレが軽減します。

露光時間(シャッター速度)は、被写体の明るさや露出度合いによって変わってきますので一概には言えません。露出計を見ながらその都度調整していきます。

実際に工場夜景を撮影してみる

設定が終わったら、まず1枚撮影してみましょう。とりあえずシャッタースピードを10秒程度に設定し、ファインダーを見ながら構図を決め、シャッターボタンを半押しにします。

工場夜景の撮影方法

フォーカスモードをオートにしておけば、四角いAF枠で捉えた被写体にピントを合わせてくれます。

そのままシャッターボタンを押し込めば、撮影が始まります。長時間露光なので撮影中はカメラや三脚に触れずじっと待ちましょう。撮影が終わったらプレビュー画面を見て出来栄えをチェックしましょう。

出来上がりの写真が明るい場合はシャッター速度が長すぎるので、少し短くして再度撮影します。逆に暗い場合はもっと露光時間を長くして調整します。

このとき目安になるのが露出インジケーターですが、夜景の場合は明暗差が大きいので過信はできません。自分で露光時間を決めて少しずつ理想の明るさになるように調整してみてください。

ライブビュー撮影の場合は

夜景の中に程よいコントラスト差がある被写体がうまくAF枠の中に入れば、比較的容易にファインダーでもピントを合わせることができますが、明暗差が少ないとAFでピントを合わせられない場合もあります。そんな時はライブビュー撮影に切り替えて、MF(マニュアルフォーカス)で撮影してみましょう。

レンズのAFモードや、カメラ側のAFモードをMFにに切り替えて、ライブビュー撮影モードをONにします。ライブビューを拡大表示させてから、ピントリングをゆっくり回してピントを合わせます。ライブビュー画面では拡大表示できるため、比較的容易にシビアなピント合わせができます。

一部の機種には「露出シミュレーション」機能が搭載されており、ライブビュー画面が実際に撮影する条件に近い明るさに見えるようになります。露出を決める目安になるので利用するとよいでしょう。

ライブビュー撮影でAFを使うことも可能ですが、夜景とは相性が悪く、特に点状の光源などはライブビュー撮影では苦手と言われています。遠景の工場夜景では場合によってAFがうまく作動しない場合もありますので注意してみてください。

露光中はブレに注意

工場夜景の場合も、夜景と同じ低感度での長時間露光撮影が基本です。都市部の夜景は屋内の展望台など夜景観賞や撮影に恵まれた場所が多いですが、工場夜景の場合は海沿いの沿岸部や山の展望台が多く、道路や堤防など、風を遮るものが少ない場所での撮影がメインになります。

そのため、風の影響をまとも受けることが多く、いかにカメラのブレを防ぐかがカギになってきます。風の影響を少なくするには以下の対策を行うとよいでしょう。

  • できるだけ丈夫な三脚を使う
  • 三脚を低くしたり、脚を広げて使う
  • ストーンバッグなどの重りを使う
  • カメラのストラップはゆらゆら風になびかないように三脚に巻き付ける
  • 状況に応じてレンズフードを外す
  • 露光中は風上に立つなりして、カメラや三脚に風が当たらないようにする
  • 路上に車を停めて撮影する場合は、車を風上に停めるとよい

以上の対策を行うことで、風によるブレを抑えることができますが、とても強い風の場合はどうしてもブレてしまうことがあります。ISO感度を上げて高速シャッターで撮影すると有効です。

工場夜景撮影時のマナーと注意点

立入禁止箇所や私有地に入らない

近年、立入禁止箇所や私有地に入っての撮影が後を絶たず、大きな問題になっています。工場の敷地内へ進入しての撮影は論外ですが、よい眺望スポットを求めて人様の土地や建物に勝手に入って撮るのも同じです。

撮影禁止に注意する

工場はテロ対策やセキュリティ面などから、接近して撮影することを禁止していることがあります。たとえ撮影する場所が道路や歩道であっても、撮影してはいけないようなケースもあります。「撮影禁止」と表記されている場所では撮影せず、またそのような表記がない場所であっても職員や警備員に注意された場合は指示に従うようにしましょう。

ロケハンは日中にやっておく

日が沈んでから撮影スポットを探すのは難しく、ロケーション探しだけで一晩使ってしまうこともあります。初めて行く場所であれば、明るい日中にロケーションハンティング(場所探し)をすることをおすすめします。

車の駐車は迷惑のならない場所へ

車で工場夜景を撮りに回る方も多いとは思いますが、ほとんどの箇所は道路の路肩に停めたりする場合が多いです。駐車違反等には気を付けて迷惑がかからないように駐車しましょう。

工場夜景の撮影方法・撮り方のコツ(基本編) まとめ

  • 工場夜景はコンビナートと呼ばれる大きな工業地帯で撮影することができる
  • 工場は基本的に24時間稼働しているので、季節や時間を選ばない
  • 工場夜景の撮影は、夜景の撮影の準備品でOKだが、便利なアイテムもあり
  • 撮影方法も夜景と同じで、マニュアルでじっくりとピントを合わせる
  • 風による影響も大きいので、しっかりした三脚と風対策を行う

工場夜景の撮影方法も、基本的には一般的な夜景と変わりませんから、夜景撮影の経験があるのでしたらそれほど難しくありません。道路や堤防、山中など撮影場所があまり恵まれていないことが多いので、動きやすい格好や、懐中電灯などの装備は忘れないように注意しましょう。

基礎編をマスターしたら応用編にもチャレンジしてみてください!

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