
カメラや交換レンズを使っていて、突然カメラが動かなくなったり、液晶画面が真っ暗になってしまったりなど、急な故障で「どうしよう?」と困った経験があるのではないでしょうか。物理的な故障、電気的な故障、リセットやアップデートすれば直る故障など、症状や原因はさまざまです。
ここでは、カメラやレンズのよくある故障原因や修理の依頼方法などについてご紹介いたします。
カメラのよくある故障原因
設定ミス
カメラ初心者の人で多いのが、設定ミスによる不具合です。機能の意味が分からずに適当に設定を変えてしまったり、何かの拍子にボタンを押してしまったりするなどして、知らない設定に切り替わってしまうことが挙げられます。「ピントが合わない」「ストロボが光らない」「正しい明るさで撮れない」などは、設定ミスの疑いがあります。
いきなり修理を依頼する前に、カメラの取り扱い説明書や、困ったときのFAQなどを読んで、設定ミスをしていないかチェックしましょう。
寿命
どんなものでも永久に使えることはなく、必ず寿命を迎えます。特に可動部はその傾向が強く、例えばメカシャッターは「〇万回」というように、シャッターが切れる回数には寿命目安があります。ボタンがフカフカになってしまったり、液晶がグラグラになってしまったりするのも、使い込むことによる経年劣化が考えられます。バッテリーも使えば使うほどフル充電しても使える時間が減ってきます。
比較的新しい機種であれば、寿命を迎えた部品だけ交換することもできますが、機種が古い場合は交換部品がない場合もあるので、古い機種ほど修理交換は難しいと考えましょう。
落下・衝撃による物理的な破損・故障
落下や衝撃は故障原因がすぐ認知できるため、比較的わかりやすい原因です。落下や衝撃のダメージはその程度によって変わりますが、物理的な不具合がよく現われます。異音がしたり駆動系がスムーズに動かなかったりする症状は落下や衝撃が原因でよく見られます。振ってみてカラカラ音がするようなら、内部で何か壊れている可能性があります。
落下では飛び出しているレンズのほうがダメージを受けやすいので、軽く当たっただけでも先端が変形してしまったりするので、フィルターが取り付けられなくなることがあります。
電気的な故障
昨日まで、ついさっきまで使えていたのに、急にシャッターが切れなくなってしまったり、電源が入らなくなってしまうような場合は、電気的な故障が考えられます。バッテリーの充電や設定にも問題がなければ、電気的な故障を疑いましょう。
ただ、電気的な故障は故障箇所を判別するのが非常に難しく、どこが壊れているかを特定するのがメーカーでも困難と言われています。そのため基板やユニットなどを見込みで交換するケースが多く、修理代金が高額になることが多いです。
一時的な不具合
現在のデジタルカメラや、昔のフィルムカメラのような単純な構造ではなく、パソコンやスマートフォンのように、コンピュータによる制御でシステムを動かしています。そのため、使用中に一時的な不具合によって動かなくなってしまったり、挙動がおかしくなることがあります。
このような場合は、一旦電源をOFFにして電源を入れなおしたり、バッテリーを抜き差しするとリセットされて直ることがあります。
砂やホコリなどの異物の混入
異物の混入は、レンズの中に入るとそれが写りこんで仕上がりに影響するケースや、砂などの固くて大きい異物がカメラの内部やレンズの内部に入り込むと、シャッターの駆動部やギアの中に異物が噛みこんで、不具合を起こすケースがあります。
普段の保管場所は防湿庫や簡易ドライボックスなどに入れておくことが大切ですが、防塵性能の高いカメラであっても、レンズ交換中は無防備になるため、屋外でレンズを交換するときは、マウント部は下を向けながら交換しましょう。
高温・高湿度
カメラも含めて電気製品は高温と高湿度に弱いものです。一般的なデジタルカメラでは、正しく使用できる温度は0℃~40℃ほどとなっています。これは、人間が耐えられる限界に近い温度なので、使用中は問題ないかと思うのですが、問題は保管時です。
夏場の炎天下の車内は50℃、ダッシュボード付近では70℃を超えることもあり、このような状況下でカメラを車の中に入れっぱなしにすると非常に危険です。また直射日光が当たる場所への長時間放置も油断できません。センサーの不具合・コーティングやシールの劣化など、目に見えない不良が起こる可能性が高くなります。
また、0℃下回るような低気温にも気をつけましょう。メーカーの推奨温度は0℃程度となっていますが、北海道や本州の山岳部の冬であれば、マイナス20度くらいまで下がることもあります。バッテリーの性能低下やディスプレイ関係の不具合が出やすくなりますが、常温に戻すと復活するケースが大半です。
寒い場所で使うときはできるだけ使用直前まで外気にさらさないようにし、暖かい部屋へ戻る際は結露しないように十分注意してください。
湿度が高い場所で保管すると、レンズやセンサーにカビが付着し、出来栄えに影響することがあります。保管は防湿庫や簡易ドライボックスに入れて保管しましょう。
カメラのよくある故障内容と対策
電源が入らない・入れてもすぐ切れる
最もよくあるパターンとしては、「電源が入らない」「入れてもうんともすんとも言わない」「電源を入れてもすぐ切れる」という不具合ですね。下記のチェックをしても問題が見当たらない場合は、内部の基板やバッテリー自身の不具合が考えられます。
- バッテリーの入れ忘れ、充電不足、純正のバッテリーを入れていない
- カードスロットのカバーが開けっ放し
- 極端な温度で撮影をしようとしている
- オートパワーオフの設定時間が短すぎる
バッテリーの充電や、バッテリーの抜き差しを行っても動かない場合は、カメラ自身の不具合の可能性が高いので、修理を依頼しましょう。
撮影や録画できない・メモリカードのエラーが出る
メモリーカード関係のエラーもカメラの不具合の中ではよくあります。自分でできる対処法としては「メモリーカードの抜き差し」「フォーマットをし直す」「違うメモリーカードに変えてみる」の3つです。これらをやっても不具合が解消されない場合は、カメラ本体の故障の可能性があります。
- メモリーカードがフォーマットされていない
- メモリーカードの読み込みエラー
- メモリーカードの容量が一杯になっている
ピントが合わない・ブレる・シャッターが切れない
ピントが合わない・シャッターが切れない不具合は、特に初心者の方が陥りやすい現象です。よくあるのが、フォーカスモードをマニュアルフォーカスに切り替えてしまったり、レンズの限界よりも近くまで寄って撮影しようとしたときなどです。
ブレる現象もシャッター速度が遅すぎたり、手振れ補正機能がOFFになっていたりと、上級者ならすぐ分かるものですが、初心者ではカメラの故障と勘違いしてしまう人もいるので注意しましょう。
- フォーカスモードがMF(マニュアルフォーカス)になっている
- レンズの最短撮影距離より短い距離で撮ろうとしている
- 手振れ補正がOFFになっている
- シャッター速度が遅すぎる、周りが暗すぎる
- ISO感度が低感度で固定された状態で、暗い場所で撮影をした
- ピントが合ってない、ピントを合わすのが苦手な被写体を撮ろうとしている
上記項目をチェックしても、要因が見当たらない場合は機材そのものの不具合が考えられます。
レンズであれば、AF駆動系の不具合、カメラのセンサーやマウント部の不良が考えれるので、他のレンズに変えてちゃんと動くようであれば、レンズ自体の問題、どのレンズに変えても変わらないのであれば、カメラ自身の問題です。
写した写真が真っ黒・真っ白になる
撮影した写真を液晶画面で見てみると真っ黒になったり、真っ白になったり、またかなり明るくなったり、暗くなったりすることがあります。大半の場合は条件をマニュアル設定にしたまま、極端な露出条件の設定のまま撮影したことによるものが多いので、オートモードに変えてから正しく撮れるか確認してみましょう。
動いている動作はするが、液晶やファインダーに何も映らない
電源は入っているような感じはするが、液晶画面やファインダーが真っ暗ということがあります。また、いずれかは表示されているのに、片方だけ映らないということも。
- ディスプレイをOFFの設定にしている
- ファインダーオンセンダーに何か当たっている
- レンズキャンプをしたまま撮ろうとしている
カメラによっては節電のためディスプレイの表示をOFFにできたり、表示時間を短くする機能があるものがあります。またファインダーオンセンダー・アイセンサーというものがカメラには搭載されており、ファインダーに接眼することで液晶画面がON・OFFされ、これが悪さをしている場合もあります。
また、カメラあるあるですが、レンズキャップをしたままファインダーを覗いている場合もありますので、当たり前のことですが、キャップをつけたままになっていないか確認しましょう。
これらをチェックしても原因がわからない場合は、断線や基板不良・液晶ユニットの不良による可能性が高いので、修理を依頼しましょう。
液晶画面がおかしい・暗い・線が入る・色が変
液晶画面の不具合は全く表示されない以外にも、変に色になっていたり、暗かったり明るかったり、線が入ったりなどさまざまな不具合が出ます。
- ホワイトバランスなど、仕上がり設定を反映させている
- 液晶画面の明るさ設定が暗いままで、自動になっていない
- 衝撃や断線などで液晶ディスプレイが正しく表示されていない
色や明るさの場合は設定で調整できるものの、バックライトの不具合で暗いままになっていたり、液晶ユニットそのものの不良の可能性もあるので、調整でどうにもならない場合は修理を依頼しましょう。
動作がおかしい・遅い
動作がにおかしい、動作が遅いような場合は、内蔵のソフトウェアが不具合を起こしている可能性が高いと言えます。電源のON/OFFやバッテリーの抜き差しで直ることもあるので、試してみましょう。
炎天下での放置や、長時間の動画録画などでカメラが高温になっているときも、このような症状が現れることがあるので、常温に戻してから試してみてくだい。
- 内蔵のソフトが不具合を起こしている
- 動画などを長時間撮影してカメラが高温になっている・炎天下に放置した
撮った写真に影がうつる・レンズに異物や曇りがある
イメージセンサーやレンズにホコリや異物が付着すると、それが跡や影になって仕上がりに影響が出ることがあります。特に空など明るい被写体を写したときに、異物の部分が暗くなって写りこむことが多いようです。
- イメージセンサーやレンズがホコリや異物が付着している
- レンズに水分が付着して乾いた跡が残っている
- レンズにカビが繁殖してしまった
これ以外に、レンズの結露により水分が付着し、乾く過程で跡になってしまったり、湿気が原因でレンズにカビが繁殖するなどして、レンズに曇りが生じることがあります。センサーの異物付着は、自分で落とすこともできますが、リスクもあるので初心者はメーカーへ依頼したほうがよいでしょう。
レンズの内部に異物やカビの付着がある場合、分解清掃は難しいため、メーカーへ修理を依頼しましょう。
カメラのオールリセット・アップデートを試す
ソフト的な不具合が発生している場合は、電源のON・OFFのほか、カメラの初期化やファームウェアアップデートで直る可能性もあります。ただし、オールリセットは設定が全部初期化されてしまうので、最終手段にしましょう。
カメラの修理の依頼方法
さて、ご自分でいろいろと対処法をやってみたものの、手に負えなかったり、自分ではわからない場合は修理に出すことになると思います。修理の依頼方法もいくつかありますので、ご紹介しておきましょう。
機材を買ったお店へ修理依頼する
カメラやレンズを買ったお店へ修理を依頼する方法です。実店舗があれば直接機材を持って行って相談したりすることもできます。メーカー保証期間中やそのお店の延長保証等に加入されている場合は、一度購入店へ問い合わせてみてください。
大手のカメラ量販店であれば、独自の修理部門を持っているケースもありますが、大半のお店はメーカーへ修理品を送るだけの取次ぎを行います。見積連絡や途中経過なども販売店を通して連絡されます。
通販で購入された場合は、初期不良以外の修理受付をしていないところもあります。メーカー保証中であれば、購入日がわかる領収書や控えなどを準備し、メーカーへ直で依頼するなりしましょう。
メーカーへ直で依頼する
CanonやNikon、SONYやオリンパスなど、大手カメラメーカーであれば、自社で修理を行っているので、直で申し込むことができます。メーカーの修理なので安心ですし、修理後の補償もしっかりしています。
ただし、部品の保有期限が短く、販売終了になってから7年が目安となっています。それ以降は部品の調達ができない可能性があるため、古い機材では修理できない場合もあります。
東京や大阪など、大都市にはメーカー受付センターがあるため、そこへ持ち込んで修理の申し込みをすることもできますし、宅配便で修理品を発送する方法などがあります。(宅配便の場合は保証期間の有無にかかわらず、往復送料が数千円程度かかります)
直の場合はメーカー保証期間中・保証期間を過ぎたものにかかわらず依頼することができます。一般的にはメーカー公式のホームページの修理受付窓口がありますので、チェックしてみましょう。
カメラ修理専門業者へ依頼する
メーカーを通さず、修理専門業者へ依頼する方法もあります。メーカー直よりは修理代金が低価格に抑えられる傾向があり、信頼のある修理業者へ依頼すれば恩恵も大きいと言えます。
特に古いフィルムのカメラであったり、年数が10年を超えているような古い一眼レフカメラの場合、メーカーでは交換部品がなく、修理不能となるケースが多いですが、カメラ修理専門業者の場合は部品を持ち合わせていることもあり、場合によっては修理できる可能性もあります。
修理業者の中には「カメラメーカーの正規修理認定店」があり、メーカーも認めているため安心です。
カメラのよくある故障・不具合原因や自分でできる復旧方法・修理の依頼方法について まとめ
- カメラの不具合原因は設定によるものがあり、初心者にありがち
- カメラの故障原因には寿命・電気的要因・物理的要因・環境などがある
- 電源関連・撮影できない・液晶画面が写らないなどの不具合が多い
- ソフト的な故障は電源のON/OFF、バッテリーの抜き差し、初期化で直ることもある
- 修理依頼はメーカ直や販売店経由・修理専門業者などがある
高いカメラを使っても、感動的な写真を撮ることはできません。言い換えれば入門機でも感動的な写真はいくらでも撮ることができます。高級機ほど撮影の限界の幅が広がることであり、撮影のイロハができていない人が撮れば宝の持ち腐れです。