星空の撮影方法・撮り方のコツ 撮影編

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必要な準備品を揃え、撮影前の設定ができたら、いよいよ実際に星空を撮影していきたいと思います。ポイントとなるのはピント合わせで、ピントがしっかり合うかどうかで出来栄えに大きな差が出てきます。

ここでは失敗しない初心者向けの星空の撮影方法についてご紹介いたします。準備編についてはこちらもご覧ください。

星空の撮影方法・撮り方のコツ 撮影編

最初にすることは念入りなピント合わせ

初心者が失敗しやすい写真として多いのが、全体がぼけて美しい星空が撮れないというケース。原因の大半はピント合わせが上手にできていないことが挙げられます。ピントの合わせ方をしっかり理解しておきましょう。

ピントリングをテープで貼る方法はおすすめしない

他のブログやホームページでは、ピントを事前に決めておいて、ピントリングをテープで貼って固定しておくという技も紹介されていますが、ピントは気温で変化しますし、ピントリングの固定を過信していると微ズレで全滅… という事態もあります。

また最近のレンズはピントリングが絶対位置で固定されていないものが多くあります。電源のオンオフで位置がリセットされてしまったりするケースもあるため、ピントリングをテープで固定しても意味がありません。

筆者はピントリングをテープで固定する方法あまりおすすめしておりません。どんな時でもピントを合わせる技術を覚え、こまめにピントを合わせることを心がけましょう。

星空へのピント合わせ方

フォーカスモードの確認

最初にフォーカスモードがMF(マニュアルフォーカス)になっていることを確認。これを忘れるとせっかく苦労してピントを合わせても、シャッターボタン半押しでAFが働いて終わってしまいます(笑)

明るい星を見つけたら、その方向にカメラを向けて固定する

まずは明るい星を基準にしてピントを合わせることが最初の作業です。空を見上げて明るい星を見つけたら、その方向にカメラを向けて三脚を固定します。向ける方向はだいたいで問題ありません。遠くの街明かりや街灯、遠い照明などを基準にしても構いません。

ファインダーを見ながらフォーカスリングを行ったり来たりさせてみる

明るい星や目印にレンズを向けたら、ファインダーを見ながらフォーカスリングをゆっくり回してみましょう。レンズに距離ガイドメーターがあるものは、無望遠(∞)マークの付近で星が見えるはずです。キットレンズなどは距離ガイドがないので、どちらかに目一杯回し、少し戻したところでピントが合うはずです。

星が見えたら、できるだけ明るい星がファインダーの中央に来るようにカメラの向きを微調整しましょう。

ライブビューに切り替えて、フォーカス枠を明るい星に合わせる

次にライブビューを起動して、液晶モニターで星を確認しましょう。このときISO感度や絞りなどを星空を撮るような条件に設定していないと、暗くて何も液晶画面には映りません。絞りを開放にし、とりあえずISO感度は3200、シャッター速度は20秒くらいに設定しましょう。そしてフォーカス枠が明るい星の中に入るように位置を調整します。カメラの向きを変えてもいいですし、フォーカス枠を移動させてもOKです。

星空の撮影 ライブビュー
カメラを天体に向けたら、ライブビューボタンを押す
フォーカス枠を明るい星空に合わせる
フォーカス枠を明るい星に合わせます。

ライブビュー画面を拡大して、フォーカスリングをゆっくり回す

最後にライブビュー画面を最大まで拡大します。星が確実に白い点になるようにフォーカスリングをゆっくり回してピントを合わせましょう。

画面を拡大してピントリングを回す
星空のピント合わせ

最後に星が点になるように最後の微調整を行います。フォーカスリングをゆっくり動かして、星がの輪郭がはっきりするようにピントを合わせてください。この微調整をしっかりするかしないかで、写真の仕上がりに大きく影響します。

ピントを合わせるとき、青い玉が残像のように現れることがあります。青い玉見えないようにピントを合わせるとよいでしょう。

星空 撮影の青白し玉

ライブビューで星が見えない場合

星はとても暗いので、使っているレンズや環境によってはライブビューでほとんど星が見えない場合があります。次のことを試してみると感度が上がって液晶画面で星が見やすくなる場合があります。

ライブビューの露出シミュレーションをONにする

ライブビューの露出シミュレーションとは、ライブビューで撮影する際、実際の仕上がりに近い明るさで画像が出るようにする機能のことです。これがOFFになっていると仕上がりをプラス補正しても明るくならないので、必ずONにしておきましょう。デフォルトでは特に触ってない限りONになっています。

露出シミュレーションをオンにする

シャッター速度を30秒まで伸ばしてみる

実際にシャッター速度を30秒まで長くして撮ることはありませんが、露出シミュレーションがONの場合は、シャッター速度を遅くすると明るく仕上がりますので、液晶画面に星が写りやすくなります。撮影するときは15秒くらいまで戻しますので、ピント合わせのときだけ一時的に設定します。

ISO感度もできるだけ上げてみる

とりあえずピントを合わす一時的なものなので、ISO感度もできるだけ上げると、星が写りやすくなります。しかし上げすぎるとノイズも目立ちますので、ピント合わせの判別が難しい場合は少し下げてみてもよいでしょう。

ピント合わせが終わったら いよいよ撮影開始

ピント合わせがしっかりできてしまえば、もうこっちのものです。あとは条件を変えながら撮影していくだけですので、最初の1枚を撮ってみましょう。

まずはシャッター速度を15秒、絞りは開放、ISO感度は1600にセットして撮ってみましょう。

仕上がりが明るすぎる場合は、ISO感度を少しずつ下げて撮影します。街明かりが大きい場所では、長時間露光すると空がすぐ眩しくなってしまうので、街中や自宅で撮る場合はこうなる場合が多いと言えます。

星空 仕上がりが明るい写真

仕上がりが暗すぎる場合や、思うほど星が写っていない場合はもう少しシャッター速度を遅くします。街明かりなどが干渉されない星見スポットや山奥などに行くと、なかなか空が眩しくならないので、もう少し長めのシャッター速度や、ISO感度を上げて撮影してもよいでしょう。

星空 仕上がりが暗い写真

撮影が終わったらピントが合っているかどうかチェック

撮影が終わったらピントがしっかり合っているかどうか、等倍再生してチェックしましょう。正直これがとても大事です。何となく星が写っていないという現象は、微妙にピントがずれて暗くなっていることも考えられます。

星空 ピンボケのチェック

上の写真のようにピントが微妙にずれていると、星の光が残像のようにボケています。もしずれているようならピント合わせからやり直しましょう。風が強い場合はカメラが振動している可能性もあります。風が当たらない場所に移動するようにしましょう。

一度ピントが合えば、カメラやレンズに大きく触れることがない限りピントがずれることはありません。場所を変えたり、電源を入れなおしたり、レンズを付け替えたりしたときは、仕上がりのチェックを行いましょう。

カメラの電源を切るとピント位置がずれてしまう場合

一部のミラーレス一眼カメラなどでは、電源をオフにするとピント位置がデフォルトに戻ってしまうため、ピント位置をその都度合わせ直すことになる場合があります。

Canonミラーレス一眼カメラで、EOS-RやEOS-Mシリーズでは、カメラの設定画面で「電源オフ時のレンズ収納」をオフにすることで、この現象を止めることができます。

Nikonミラーレス一眼カメラのZ系では、「フォーカス位置の記憶」をするに設定することで、同じくこの現象を止めることができます。

電源を入れるたびにピント位置がずれてしまう場合は上記の設定を試してみましょう。

天の川の写真はどうやって撮るの?

天の川の写真も基本的には普通の星空の撮影と変わりません。天の川はカメラの設定よりも、天の川がよく見える場所に行く必要があります。天の川は星の明るさが暗いため、街の明かりなど有害な光が届かない場所に行かないとよく見えません。

加えて明るいレンズと高ISO感度が重要になりますので、より高感度で撮影できるフルサイズのデジタル一眼レフカメラや、開放F値がF2.0以下の明るいレンズがあると理想的です。きれいな天の川を撮影するには少し難易度が上がりますが、まずは天の川がよく見えるスポットに行くことが大切です。

天の川の撮り方

上の写真は国内有数の天の川スポット、大台ケ原山で撮影した天の川です。14mm・F2.8・ISO3200で撮影後、レタッチソフトで編集していますが、肉眼でも天の川がはっきり見えるくらいコンディションがいいスポットです。

天の川の中心部

50mm・F1.4.ISO6400で天の川中心部を撮影。天の川はよく見える場所で明るいレンズを使うことが条件です。

ネットやSNSであがっている幻想的な天の川写真はどうやって撮る?

インスタグラムなどのSNSや、ネットの天体写真を見ると、とても幻想的な天の川や星空写真が出回っています。

このような写真は、ほとんどが1枚ものの写真ではなく、複数の写真を合成して作っているアート作品です。

背景だけで撮影し、星空は別で何枚か撮影したものを合成する技法もありますし、赤道儀で低感度撮影をした後で、それらを背景と合わせて1つにしたりなど、1枚撮りでは表現できない方法で作っています。

海外の投稿では割と多い現実離れした星空写真。

そんなのは写真と言えるのか?と言われると賛否両論ですが、ここでは初心者向けのサイトなので、これ以上は説明しません。興味にある方は「星空」「コンポジット」「合成」「追尾」などで検索してみてください。

教科書や図鑑に載っている天体写真は撮れるの?

図鑑や教科書、天文雑誌に出てくるような渦を巻いた銀河や星雲などの写真は、「赤道儀+天体望遠鏡+カメラ」の3セットが必要になってくる上、観測箇所も光害の少ない地方の山の上などで撮影する必要があります。カメラと三脚だけで手軽に撮ることはできません。

天体写真は赤道儀や天体望遠鏡が必要

ここでは初心者向けサイトなので、これ以上詳しい天体写真の撮り方は説明しませんが、本格的な天体写真に興味がある方は「天体写真」「赤道儀」「ローパスカット・天体」などで検索してみてください。

星空の撮影方法・撮り方のコツ 準備編 まとめ

  • 大事なのはピント合わせ、ピントさえ合っていれば後は設定をいじるだけ
  • ISO感度とシャッター速度を調整しながら、明るさの出来栄えを調整する
  • 撮影が終わったら等倍再生でピンボケになっていないかチェック
  • 天の川などはより良い条件の場所で撮影する必要がある
  • SNSであがっているような幻想的な天体写真の多くは合成されている
  • 雑誌や教科書に載っているような天体写真を撮るには専用の道具が必要

星空を美しく撮るのは事前の準備とピント合わせのテクニックと言えます。明るい星は自宅からでもよく見えると思いますので、外やベランダでピント合わせの練習をしておくと現地でもスムーズです。上記を参考に素敵な星空写真を撮ってみてください。

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