
花はとても手軽な被写体の1つで、四季を通じて撮ることができるのも魅力の1つです。近所をお散歩するだけでも見つけることができますし、植物園や公園、お花畑などに行けば被写体に悩むことはないでしょう。しかしアングルや被写界深度のコントロールなど難しい一面もあり、単に花に向けてカメラを向けても平凡な写真になりがちです。
ここでは失敗しない花の撮影方法について学んでいきましょう。
花の撮影は意外と奥が深い
単に花を撮る… というだけなら誰でも撮れますが、センス良く撮るとなるとかなり難易度が高くなります。花の撮影は簡単なようで実は奥が深く、アングルや配色、背景、光の入り具合など、さまざまな要素が絡み合います。
花の写真をたくさん撮影してみたものの、家に帰ってから見返してみると、どうもパッとしない、メリハリがない・・・など単に撮影するだけでは、なかなかお気に入りの一枚にたどり着くのは難しいと言えます。結局メモリーカードやHDDの肥やしになってしまうだけですね。



上のような写真は、背景も考えずに人の目線で撮っただけ、構図も考えずに単に花を真ん中にしただけ、光の当たり方も考えずに写しただけ・・・というような失敗例です。作品というよりは記録写真ですね。
初心者の人がやりがちな撮影方法として、次から次へと花を撮影していく姿。とりあえず花をフレームの中に入れて撮り、撮った画像も確認せずにまた次の花を探して渡り歩く人をよく見ます。これでは単に機械的に花を撮っているだけであり、単に写真に記録しているだけになってしまいますし、なかなか上達しません。いろいろ考えながら撮影することを頭に入れましょう。
主題にピントを合わせる場合は三分割構図を意識しよう
花の写真は花全体を被写体として撮影するか、花の一部を主題とするかの2通りに大きく分かれますが、後者のように主題にピントを合わせて撮影する場合は、日の丸構図になりがちです。なるべく三分割構図を意識することで、変凡な写真から一歩抜け出せます。背景を綺麗にぼかすのであればF値を開放して撮影するようにしましょう。

上の写真も、紫の花を主題としていますが、花の位置を真ん中よりやや左下に配置しています。中心からずらすことで、バランスや体裁のよい写真に仕上がります。

この写真も、主題は花とミツバチですが、位置を真ん中より右にずらしています。F値を開放させているので、背景がボケて花とミツバチが目立つようになります。
全体を入れる場合は遠近感をうまく出す
群衆している花を撮る場合は、一部だけにピントを合わせて手前や奥をぼかすと遠近感が出てインパクトが出ます。望遠レンズで遠くから狙うと被写界深度が浅くなり、遠近感が強調されます。

上の写真は一番手前ではなく、少し奥にピントを合わせて撮影。手前も程よくぼけながら、奥もふわっとボケています。群衆する花を撮影する場合は、隙間をできるだけ少なくして、密集感を出すことが大切です。

手前のアジサイにピントを合わせて、奥のアジサイはボケるように撮影しました。奥の背景がごちゃごちゃしすぎていると、手前の主題が目立たなくなってしまうので、すっきりする背景を選ぶのもポイントです。

これも中間にある花しょうぶにピントを合わせました。この場合は奥にスペースが空くことで、ピントが合った被写体が目立ち、遠近感も強調されました。
逆光で撮影する
逆光とは、光源の方向へカメラを向けて撮影することを言います。逆光で撮影することにより、花びらが明るく透き通るように写すことができます。コントラストが低下しますが、その分ゆる~いふわふわした質感になるので、SNSなどでは女子ウケしそうな作品になります。

上の写真は桜の花を逆光で撮影。太陽に照らされて透き通るような花びらが撮れました。

コスモスの花を逆光で撮影。本来なら花を表向きから撮るのが王道ですが、あえて反対から撮ることで、また違った雰囲気の写真になります。
背景を暗くして被写体を引き立てる
ゆる~いふわふわした写真とは対照的に、背景や周りの景色を暗い色にして撮影すると、イメージが一転します。よい意味でダークな感じの写真に仕上がり、より被写体が映える印象になります。

逆光で花には光が当たっていましたが、奥が日陰で暗い場所だったため、そのまま背景を活かして撮影。ダークな背景に光った花びらが印象的な一枚になりました。

アジサイにピントを合わせて撮影。奥が森で暗くなっていたため、締まりのよい作品になりました。
このように背景を暗くするとメリハリのある写真に、背景が明るいとポップな印象に仕上がります。
花をフレームいっぱいに入れる
大きい花であれば、思い切り近寄ってフレームいっぱいに花をいれてみるのもよいでしょう。収まりきらなければ切れても構いませんし、そこまで大きく撮るのなら日の丸構図で撮ってみてもよいでしょう。

ヒマワリがたくさん咲いていたので撮ってみました。これでもヒマワリとわかる写真ですが、なんとなくたくさん並んでいるだけで、平凡な写真に見えます。

今度は1つのヒマワリにだけ着目してアップで撮影してみました。おかげで迫力ある写真に仕上がりました。枠からはみ出したほうが大きいヒマワリを表現できますね。

離れて撮影すると、何となくしょぼい鉢植えの花も、近寄って撮影すれば豪華な写真に早変わりです。斜めに配置する対角線構図にするとバランスが良くなります。
花以外のものを入れて引き立てるのもよい
景色や副題をしっかりと入れて撮ってみてもよい方法です。花を見るとどうしても花だけにカメラを向けたくなりますが、一度見まわしてみて周囲に撮れるものはないか確認してみましょう。

お花畑に富士山を入れてみました。空や背景がスカスカだと絵になりませんが、何かインパクトがあるものがあれば、三分割構図でいろいろ入れてみましょう。

つつじの花を撮っていたら、思わぬお客様が来てくれました… こういうのも楽しみの1つですね。

花をアクセントに周りの風景を入れてみるのもよいでしょう。
花の撮影方法 まとめ
- 花は適当に撮ってはダメ、構図や光などを考えることが大事
- 主題をメインに考える場合は三分割構図にするとバランスがよい
- 被写界深度を浅くすることで、より遠近感がくなり立体的な写真になる
- あえて逆光で撮影すると、透明感が出て女子らしい写真になる
- 花をフレームいっぱいに入れて撮影する方法もよい
- 花以外の周りの被写体も入れてみる
花は構図や光の捉え方が難しい一方で、自分のスタイルが確立できるようになるととても面白い被写体でもあります。花の撮影は上達する練習台にはもってこいと言えますので、できるだけ自分が動き回ってよい構図や焦点距離を見つけることが大切です。上記を参考に自分らしさを活かしながら、素敵な花の写真を撮ってみてください。