星空の撮影方法・撮り方のコツ 準備編

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デジタル一眼レフ・ミラーレス一眼カメラを手に入れたら一度はやってみたい星空の撮影。しかし星空の撮影は難しいと諦めている人もいるのではないでしょうか。

確かに星空は適当にオートモードで撮れるほど楽ではありませんが、ポイントとコツさえ押さえれば誰でも撮影するこができます。ここでは初心者向けの星空の撮影方法の準備についてご紹介いたします。

星空の撮影方法・撮り方のコツ 準備編

星空が見えやすい場所や時間・季節は

単に星空が撮りたいと思っても、いつでもどこでも条件がそろっているわけではありません。空が晴れているかどうかは最低条件ですが、まずは以下のことをチェックしましょう。

光害の影響がないかどうか

光害とはその名の通り、星以外の光が邪魔をして、星が見えにくくなってしまうことを言います。光害には大きく2種類あり、1つは月明かり、もう1つは町明かりなどの人工的な明かりです。

星空の撮影でまず邪魔になるのが月明りです。月明りがあると見える星空の数が少なくなるだけでなく、撮った写真が昼間のようになり撮影に影響を及ぼします。できれば月明りがほとんどない新月前後がねらい目ですが、半月程度でも時間帯によっては見えないので、月の出入をチェックしましょう。基本的に月が地平線より沈んでいれば、月明かりの影響は受けません。

もう1つが町明かりなどの人工的な明かり、都市部では街の明かりが強すぎて星があまり見えません。一方街の明かりが届きにくい地方や山間部では星がよく見えます。空さえあればどこでも星空を見ることはできますが、満天の星空を眺めるのなら街明かりが少ない場所を選びましょう。全国の星空スポットや光害マップを参考にすると良いでしょう。

前者は時間で変化しますが、後者は場所で変化します。月明かりの影響が少なく、街から離れているほど星空はよく見えると思ってもらえればよいでしょう。

空のコンディションがよいかどうか

「今日は新月で月明かりの影響もないし、街明かりの影響も少ない郊外の山奥に来たけれど、いまいち星空がよく見えない・・・」というように、実は月と光以外にも、星空がきれいな要素はほかにもあります。

雲がかかっていないかどうかと、空気が澄んでいるかどうかの2つですね。雲がかかっていないというのは、いわゆる快晴の状態が最もよく、仮に雲が出ていたとしても、カメラを向ける方向が晴れていれば問題ありません。うっすら出ている巻雲や巻層雲なども厄介で、星空が見えにくい雲です。

空気が澄んでいるかどうかは、花粉や黄砂の影響が少ない、雨上がりや低気圧の通過後などで空気中のちりやほこりが少ない、湿度が低く空気中の水蒸気が少ないなどが挙げられます。

こうした条件を上げてしまうと、すべての条件を兼ねそろえた最高の状態で星空の観測や撮影ができるのは、それほど多くないためある程度は妥協する必要があります。

星空の撮影に必要なもの

星空の撮影に必要なものをチェックしましょう。カメラと三脚は必須ですが、それ以外に便利グッズもいくつご紹介いたします。

星空撮影に使うカメラはセンサーが大きいものがよい

星空はとても暗いので、赤道儀など特殊な装置を付けない場合はISO感度を上げて撮影する高感度撮影が基本です。イメージセンサーが大きいフルサイズやAPS-Cサイズ、フォーサーズの一眼カメラなら問題ありませんが、コンデジやスマホでの撮影は困難です。

コンデジでも高級コンデジと呼ばれる1型以上のイメージセンサーを搭載しているものなら撮影が可能です。

レンズは明るい単焦点レンズほど星空の撮影には向いています。天の川などを全体的撮影するなら超広角レンズなどもあればいいですが、なければキットレンズでも撮影可能です。

星空撮影に適したカメラ

星空撮影に必要な三脚と雲台は?

星空の撮影はスローシャッターを行いますので三脚は必須です。基本は数秒から数十秒の長時間露光となるため、風の影響を受けにくい丈夫なものがおすすめです。軽い小型三脚でも使えますが、あまり脚を長くせず、低い状態で使用すると風の影響を軽減できます。

星空はいろいろな方向を向ける必要があり、場合には真上を向けることもあります。3WAY雲台よりもあちこち方向を向けやすい自由雲台のほうが星空撮影に向いています。

星空撮影であると便利なアイテム

リモートレリーズ

カメラと三脚以外では、リモートレリーズと呼ばれるものがあると便利です。リモートレリーズはカメラに触れずにシャッターが切れるもので、有線式ものや無線式のものがあります。また、最近ではスマホアプリと接続できるカメラもあり、スマホの操作でシャッターが切れるものもあります。

ライト類

星空を撮影するスポットは暗い場所も多いので、ライトも必須です。移動用の明るいものと、撮影時に使う暗めの手元灯の2種類を準備するとよいでしょう。

星空の撮影スポットでライトを豪快に点灯すると怒られる?

星空を撮影するスポットでは、明かりに対して十分な配慮をする必要があります。ご自分一人だけで撮影する場合は好きなようにしていいですが、有名な星見スポットになると、他にも撮影している人が大勢いる可能性があります。

そんな中、明るいライトをブンブン回しながらドヤ顔で撮影ポイントに行くと、かなりの高確率で怒られます。年配のオジサンなどには「ライトを消してっ」と本気で怒られます(笑)筆者も最初のころは何もわからず、よく怒られたものです。

天体写真を専門で撮っている人や、赤道儀など専門の機器を使って撮影する人たちなどは、有害な光が写ってしまうと台無しになってしまうので、それだけ光に対してもシビアです。

自分以外に人がいそうな気配があったら、ライトを消すか、最低限の明かりのライトを使うなど、配慮するようにしましょう。

レンズヒーター

冬の寒い日に撮影する場合、霜が付着する可能性があります。特に天体撮影はレンズを上に向けるので、風のない日は簡単に霜が付着して曇ってしまいます。レンズに巻き付けるヒーターがあると便利です。

冬場以外でも風が弱い夜は露が付着すことがありますので、星空撮影の時は保険としてもっていくと安全です。電源はスマホ充電用のモバイルバッテリーなどが使えます。

寒さ対策・虫よけなど・椅子など

寒い日はずっとその場に居座らないといけませんので、防寒着はもちろんカイロなどもしっかりと準備しましょう。逆に夏場は蚊や虫との闘いです。虫よけグッズなども忘れないように。折り畳みの椅子などがあれば長時間の撮影でも疲れずに便利です。

星の撮影前の設定は、事前に頭に叩き込んでおく

現地に到着する前に、必要最低限の設定を事前に覚えておくようにしましょう。現地ではとても暗く、焦ってしまうとバタバタしてしまい、想像以上に時間がかかってしまいます。

また、人気の星空撮影スポットでは、ご自身以外にもたくさんの人が星空を撮影しています。そんな中でライトをつけたり消したりして、いちいち設定を確認していれば、周りに迷惑をかけてしまいますよね。

事前に準備できる設定は明るいうちに行っておくことが大切です。

撮影モードやレンズの設定

星空の撮影はマニュアル撮影が基本です。モードダイヤルを「M」位置に合わせるか、撮影モードをマニュアルにしましょう。

フォーカスモードはマニュアル(MF)に設定します。レンズにフォーカスモード設定スイッチがあるものはスイッチをMFに、カメラ側でフォーカスモードを変更するものは、カメラの設定でMFにしましょう。同時に手振れ補正もOFFに設定します。

星空の撮影モードはマニュアル
星空の撮影にはマニュアルフォーカスにして手振れ補正はOFF

星空撮影条件の設定

まず絞り値(F値)ですが、F値はそのレンズができる目一杯小さい数字にしておきましょう。キットレンズならF3.5、明るい単焦点レンズならもっと小さくできるはずです。

シャッター速度は、短ければ短いほど星が点として写りますが、とても暗い星はスローシャッターにしないと上手に写りません。星をしっかりと捉えるにはシャッター速度は15秒前後が理想です。これ以上遅いと星が点ではなく線になってしまいますし、速すぎると明るい星しか写りません。超広角レンズの場合は25秒くらいにしても大丈夫です。

シャッター速度による星の動き

続いてISO感度の設定ですが、高感度で撮影しないと星が捉えられないので、ISO感度は1600~3200程度にセットしておきます。これも空の明るさや星の量などコンディションによって変更しましょう。初心者が失敗しやすい事例として、ISOを100や200で設定してしまうことがありますが、これだとほとんど写りませんので注意してください。

最後にホワイトバランスはお好みで調整しておきます。RAWで撮影する場合は後から変更できるので何でもいいですが、JPEGで撮影する場合は理想の色になるように予め設定しておきましょう。蛍光灯や白熱電球にすると青っぽくなり、曇り空や日陰にすると空が黄色っぽくなります。

ホワイトバランスによる星空の違い

液晶画面や電子ファインダーの明るさは暗めに設定する

せっかく暗闇に目が慣れても、カメラの液晶画面や電子ファインダーが明るすぎると眩しくなってしまいます。現地ですぐに液晶画面の明るさを暗くできるようにしておきましょう。設定画面をあちこち探す羽目になってしまうので、事前に練習しておくとスムーズです。

ISO高感度撮影時ノイズ低減はOFF又は弱めにする

カメラによっては、ISO高感度時のノイズを低減させる機能がついています。ISO感度を上げれば上げるほどノイズがひどくなってざらついてしまう副作用がありますが、これを低減させる機能がついています。

普段の撮影ですと、ノイズが程よく消えてうれしいのですが、星空の撮影でこの機能をONにすると、小さい星の明かりが消えてしまう恐れがあります。高感度時のノイズ低減はオフか弱めに調整しましょう。

星空とノイズ除去の違い
星空撮影の高感度撮影時のノイズ低減はオフにする

星空の撮影方法・撮り方のコツ 準備編 まとめ

  • 星空は撮影する条件よりも、撮影に適した場所や時間を選ぶほうが大事
  • 月明りと街明かりが星空撮影を妨害する2大要素
  • 三脚とカメラ以外に、レリーズやヒーター、ライトなどを準備する
  • 人気の撮影ポイントでは、他の人の迷惑にならないようにライトは最小限に
  • 現地で慌てないように事前に設定を行っておく

きれいな星空を撮るためには、場所やコンディション選びと、カメラの事前準備が大切です。事前準備をしっかりしておけば、現地に着いても焦らずスムーズに撮影に進めることができますね。次はいよいよ撮影実践編をご紹介したいと思います。

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