バルブ撮影とは、シャッターボタンを押している間だけシャッターを開けることができる撮影方法で、夜景や星空など30秒以上の露光が必要な場合や、花火のように好きな時間だけシャッターを開けたいときに便利な撮影モードです。
ここではバルブ撮影の解説や、バルブ撮影が必要なシーンなどを解説したいと思います。
バルブ撮影とは
通常シャッター時間を調整するには、シャッター速度優先モード(TVモード)か、マニュアル撮影モード(Mモード)を使って、任意のシャッタースピードを選んで撮影を行います。
しかし、両者も基本的には30秒までしか選ぶことができず、それ以上の長時間露光にはカメラが対応していません。「30秒以上って何を撮るの?」と初心者には思われがちですが、撮影シーンによっては30秒以上の露光が必要な場合もあります。
バルブ撮影モードにするとカメラの設定に関係なく、シャッターボタンを押している間だけ露光させることができるので、1秒でも1時間でも自由自在です。
何でシャッターボタンを開けっぱなしにすることをバルブ撮影と呼ぶのでしょうか。
バルブとは「BULB」と表示され、日本語にすると球根や電球という意味になります。車のヘッドライト交換のことを「バルブ交換」というように、カメラのバルブとは電球の意味で用いられます。
まだフラッシュ撮影ができない時代は、カメラのシャッターボタンを開けっ放しにし、電球で照明を当てて長時間露光をしたそうです。その名残から今でもバルブという名前が残っているそうです。
バルブ撮影に必要なもの
バルブ撮影は、シャッターボタンを押し続けなければならないので、カメラのシャッターボタンをずっと押し続けるのは疲れて無理がありますし、手がプルプルすればカメラがブレてしまいます。
そのためカメラに触れずにシャッターボタンが押せるリモートレリーズと、カメラを固定できる三脚が必須です。
リモートレリーズはカメラに取り付ける外付けのシャッターで、シャッターボタンと同じように半押しでピント合わせ、全押しでシャッターが切れるようになっています。またシャッターを押し込んだ後にスライドさせると、シャッターを押したままロックさせることができるため、手を放してもシャッターボタンをずっと押している状態が維持できます。
赤外線式のワイヤレスリモコンでは上手くいかないので、必ず有線のレリーズを準備しましょう。
バルブ撮影のやり方
バルブ撮影は基本的に夜景などの長時間露光と同じ方法です。カメラを三脚にセットし、カメラの撮影モードをバルブ(Bulb)撮影にします。入門機であればマニュアル(M)撮影モードにし、シャッター速度を30秒以上にすることで、Bモードにできます。
中級機以上であれば、撮影モードにBモードがあるので、そのまま選択することでバルブ撮影が行えます。
リモートレリーズをカメラに接続して、レリーズ側でシャッターボタンを押すと露光が始まり、ボタンを離すと撮影が終わります。
バルブ撮影に適したシーン
花火はバルブ撮影が必須と思えばよい
「バルブ撮影は花火を撮るためにある」と言ってもいいくらい、花火とバルブ撮影の相性は最高です。花火の撮影は花火が上がって花が散り終わるまでシャッターを開けるのが基本なので、花火によってその時間には差があります。
単にマニュアル撮影で「5秒くらいかな」とセットしてしまうと、花火が散り終わる前にシャッターが終わってしまったり、予想以上に花火が先に散ってしまい、次の花火が上がった後にシャッターが終わったなど、失敗が多くなります。
バルブ撮影なら自分の撮りたい時間だけ露光させることができるので、花火が上がって散るタイミングを自分で合わせることができるようになります。
雲を流すようなシーンもバルブ撮影が必須
流れる雲を躍動的に撮影するには、1~2分くらいシャッターを開けることになります。夕暮れ時や夜明け前のマジックアワーと流れる雲を撮る場合に使用されるほか、NDフィルターを取り付ければ日中の雲が流れるシーンなどもバルブ撮影が威力を発揮します。
夜景も場合によってはバルブ撮影が望ましい
夜景の場合はマニュアル撮影モードで事足りることが多いのですが、流れるテールランプをタイミングよく入れたりするなど、任意のタイミングでシャッターを切りたい場面があります。そんな時にはバルブ撮影を使うと効果的です。
ホタルの撮影もバルブ撮影がおすすめ
ホタルの撮影も花火と似ており、ホタルが光ったり飛んだりするタイミングでシャッターを開ける必要があります。ホタルの光跡をうまくフレームに入れるには、任意のタイミングで露光時間をコントールできるバルブ撮影がおすすめです。
バルブ撮影での注意点
バルブ撮影の注意点としては、大まかな露光時間を頭の中に入れておき、それに合わせてF値やISO感度を決めておくことが大切です。
バルブ撮影もマニュアル撮影の一種であり、露光の仕上がりを決めるF値・シャッター速度・ISO感度はすべて自分で決めなければなりません。
そのあたりを何も考えずにバルブ撮影をしてしまうと、時には露光しすぎて真っ白になってしまう場合や、その逆で暗くて真っ黒ということもあります。
夜景にしても、花火にしても、雲を流すにしても、大まかな値を決めておき、調整しながら撮影していくようにしましょう。
また、シャッター速度を1秒以下にしたい場合は、バルブ撮影は不要です。マニュアル撮影モードにして、任意のシャッター速度に合わせて撮影するようにしましょう。
バルブ撮影とは 使い方やシーンを解説 まとめ
- バルブ撮影は自分がシャッターを開けたい時間だけ開けることができるモード
- バルブ撮影にはリモートレリーズと三脚が必須
- バルブ撮影はマニュアル撮影の延長であり、シャッター速度を自分のタイミングで変えられる
- 花火・夜景・雲を流す・ホタルなどにバルブ撮影がよく使われる
普段の撮影にはあまり使わないバルブ撮影モードですが、花火や夜景など、ここぞという時には非常に頼もしいモードです。最初のうちは設定が難しく、なかなか意図する仕上がりにはなりませんが、徐々にコツがわかってくると上手に撮影できるようになってきます。
上記を参考にしながら、バルブ撮影をやってみてください。