シャッター速度優先モードは、シャッター速度を固定したまま撮影することができるモードで、絞り優先モードに比べると使われる頻度は低いものの、被写体の動きを流したり止めたりするときに便利なモードです。
ここでは、シャッター速度優先モードの特徴などについてご紹介したいと思います。
シャッター速度優先モードってどんなモード
シャッター速度優先モードは、デジタル一眼レフ・ミラーレス一眼カメラの撮影モードの1つで、撮影モードダイヤルを「Tv」に(ニコンの場合は「S」)合わせたり、メニュー画面から撮影モードをTvに変更することで行えます。Tvは(Time value)タイムバリューの略称のことで、シャッターが開いている時間量のことを表します。
シャッター速度優先モードは、シャッター速度を任意の値に固定することができ、周囲の明るさに応じて絞り値が自動的に変わるという性質をもっています。それ以外の操作は設定はすべてマニュアルで変更可能です。応用撮影モードの中では「あまり使わない」という人も多いようですが、いざという時にはお世話になるモードです。使い方だけでもしっかりとマスターしておくようにしましょう。
TVモードでは、シャッタースピードを任意に変えることができ、
最適な明るさになるよう絞り値(F値)が自動的に変化するモード
シャッター速度優先モードは被写体の動きをコントロールできる
シャッター速度優先モードでは、絞り値以外はすべて自分で決定します。
シャッター速度優先モードの最大の特徴は、被写体の動きをコントロールできることにあります。例えば動いている被写体に対して速いシャッター速度で撮影すれば、当然一瞬の表情や動きを止めて写真に収めることができますし、逆にスローシャッターにすれば、動きをダイナミックな表現でとらえることもできます。
どんな被写体をどれくらいのシャッター速度で撮れば、どんな作品になるかは数をこなすことで理解できるようになってきますが、同じ被写体でもシャッター速度を変えるだけで作品に変化をつけることができます。
手ぶれと絞りの限界に注意する
シャッター速度優先モードは、シャッター速度を自由に設定できる反面、絞り値が変化するため、極端な設定をしてしまうと、絞りの限界を超えてしまい、適正に露出されないことがあります。
例えば、とても暗い場所で速いシャッター速度にしてしまうと、たとえ絞りを最大まで開放していても十分な光がセンサーへ届かず、暗い写真になってしまいます。逆に、とても明るい場所でスローシャッターにしてしまうと、絞りを最小まで絞っても、光量が多すぎてまぶしい写真になってしまったりします。
一般的なデジタル一眼レフ・ミラーレス一眼カメラでは、シャッターを半押しにした際に、絞り値の表示が点滅をするなど警告してくれる機能がついています。そのままシャッターボタンを押し込めば、撮ることは可能ですが、変な仕上がりになってしまうので注意しましょう。
また、手持ち撮影では遅いシャッター速度では手ぶれになる可能性があります。一般的には撮影している焦点距離分の1(焦点距離50mmなら 50分の1)秒より遅いシャッター速度になると、手ぶれが発生しやすくなります。任意にシャッター速度を選ぶ際は、手ぶれにも注意しましょう。
ISO感度の調整で、シャッター速度の範囲を広げる
シャッター速度の調整できる範囲は、レンズの絞り値に依存しますが、ISO感度を調整することでその範囲を広げることができます。
もっと遅いシャッター速度で撮りたい場合は、ISO感度を下げることで可能になりますし、逆にもっと速いシャッター速度で撮りたい場合は、ISO感度を上げることでできるようになります。
その都度ISO感度を調整するのは大変ですので、ISO感度自動設定にしておくとよいでしょう。また、ノイズなどが気になる場合はISO感度自動の上限値を設定しておけば、画質に対する心配も減り、撮影に集中できます。
シャッター速度優先モードではこんな撮影ができる
それでは、シャッター速度優先モードで撮った作例を見てみましょう。シャッター速度優先モードは、特に動くものに対して有効で、一瞬の表情を撮るのか、躍動感を見せるのかなど、撮影者の想いをコントロールできます。
夜桜と車のテールランプを流してみました。13秒もシャッターを開けていますので、動く車のテールランプが残像のように写りました。
流れる滝を撮影した一枚。流れる水を線のように表現するには、1秒以上のシャッター速度にすればOK、もっと水の動きを滑らかにしたい場合は、シャッター速度を長めに設定するとよいですね。
シャッター速度優先モード まとめ
- シャッター速度優先モードはシャッター速度を固定することができる
- カメラは自動的に絞り値を調整して明るさを保つ
- シャッター速度優先モードでは被写体の動きをコントロールできる
- シャッター速度を極端に設定すると、絞りの調整範囲を超えやすい
- ISO感度を調整することで、シャッター速度の調整幅が広がる
シャッター速度優先モードは、被写体の動きをどう見せるかを調整できる便利なモードです。どんなシャッター速度にすればどのような写真に仕上がるのかを実感しながら撮影できるかと思いますので、特に動いているものを狙うときは、シャッター速度をいろいろ変えて試してみてください。