一概にカメラの三脚と言いましても、さまざまな種類があります。まずは三脚とはどんな用途に使い、どんな種類のものがあるのかをざっくりと理解する必要があります。
このコーナーを読んでいただければ、一通り三脚の知識を身に着けることができますので、初心者の方は最後まで目を通していただければと思います。
三脚の役割
まず最初に三脚の役割と用途についてお話したいと思います。三脚を買うにあたっては、明確な用途がある人もいれば、「もしかしたら何かに使うかも」という理由で考えている人もいらっしゃるのではないでしょうか。三脚はどのような場面で使うのかをまとめてみました。
長時間露光・スローシャッターに使う
三脚を使う用途として最も出番が多いのが、夜景や夕景、星空の撮影に使う長時間露光や、花火、滝などの撮影に使うスローシャッターではないでしょうか?

夜景や滝、花火を撮りたいために三脚を買う人も多いかと思います。どれだけ上手な人が撮影しても、手持ちで何秒もの長時間露光で撮ることはできませんので、長時間露光やスローシャッターが必要なシーンでは三脚は必要不可欠です。
風景など構図の固定に使う
日中はシャッター速度が速くなるので、手持ち撮影でも十分ブレずに撮ることができますが、風景の撮影スポットなどに行くと日中であるにもかかわらず三脚を広げて撮影している人をチラホラ見かけますよね。
三脚があれば構図を固定することができますので、カメラを構えて待つ必要もなくなり、急なシャッターチャンスでも対応できます。

望遠撮影に使う
野鳥やスポーツ撮影に行くと、大半の人は三脚を広げて構えていますよね。望遠や超望遠レンズは画角がとても狭いため、小さな手の振動でも大きくブレてしまいます。日中の撮影で手ぶれ補正をONにしていても望遠撮影を行う時は三脚が必須です。運動会や発表会などにもおすすめです。

料理や商品などのブツ撮りに使う
料理の撮影やオークション、商品紹介用の写真撮影などのブツ撮りも三脚が必要です。三脚のほか撮影ボックス、照明なども準備するとよいでしょう。
マクロ撮影に使う
マクロ撮影とは被写体にできるだけ近づいて撮りますが、被写界深度がとても浅くなるため、手持ち撮影では疲れます。固定しておけばピント位置を合わせやすいですし、構図も固定できるため便利です。
集合写真や自分撮り
昔から三脚と言えば集合写真ですよね。自分も含めて撮影するときはセルフタイマーにして急いで集合写真に加わったものです。またスマホでは自撮り棒などを使えば自分撮りもできてしまいますが、重いカメラではそういうわけにもいきませんね。
三脚の種類はさまざま
三脚の用途や役割については十分理解できたかと思いますが、次にどんな種類の三脚があるのかをご紹介していきましょう。実は三脚の種類は多種多様で、「漠然と三脚が欲しい」と思っても、自分に合う三脚がどんなものなのかもわからないと思います。
インターネットで三脚を調べたり、カメラ店などに行くとたくさんの三脚が並んでいます。安い物なら数千円から、本格的なプロ仕様の大型三脚ともなると10万円を超えるものまであります。
例えば重い望遠レンズを取り付けた大型一眼レフカメラを、トラベル用やコンデジ用のヒョロヒョロの三脚に装着すればフラフラするだけでなく、重みでひっくり返ってしまうこともあります。その逆もありで、「どうせなら大型の三脚がいいかな」と大型三脚を買ってしまったが、いざ山歩きや旅行などのときに「重くて大きくて移動が大変」なんて後悔する話もよく聞きます。
三脚は用途に応じて様々なタイプがありますので、1つあったらOKというわけでもなく、自分は何の目的で三脚が必要なのかというのも重要になってきます。単に漠然と「三脚が欲しい」とは思わず、じっくり考えて購入してほしいものです。
それでは三脚の種類を6つのカテゴリに分けて、1つ1つ説明していきましょう。

卓上ミニ三脚・ポケット三脚
卓上ミニ三脚は、その名の通り脚が短い超小型の三脚で、台やテーブルの上などに置いて使うことができます。ほとんどがコンデジや小型のミラーレスカメラ用に発売されていますが、一部機種はフルサイズのデジタル一眼レフ・ミラーレス一眼カメラが搭載できるものもあります。
携帯性に非常に優れており、バッグなどの中にも収納しやすいため、機動力は抜群です。パーティやアウトドア、トレッキングなどはもちろん、ブツ取りやテーブルフォトにも威力を発揮します。
しかし高さを確保することが難しいため、何も置く台などがない場合はアイレベル(目線の高さ)での撮影はできません。風景撮影や夜景撮影、被写体が激しく動くなど、高さやフレーム移動が必要なシーンではあまり使えなので、撮影シーンに制限が出る三脚です。
トラベル三脚
トラベル三脚は卓上ミニ三脚と小型三脚のハイブリッドのような三脚です。
非常にコンパクトに収納できるのが特徴で、旅行や山歩き、街歩きなど、荷物を少なくしたいときの携帯性に優れています。足の高さもそれなりに伸ばすことができるため、卓上ミニ三脚では難しい風景や夜景など、目線の高さで撮影をすることもできます。
反面、積載重量が低めであったり、脚を最大まで伸ばすと安定性が低くなるデメリットがあります。乗せる機材と相談しながら購入すると良いでしょう。
廉価小型三脚・ファミリー三脚
廉価小型三脚は、概ね5,000円以下で購入できる小型の三脚で、別名ファミリー三脚とも呼ばれています。運動会や発表会などで、ビデオカメラを載せる三脚もこれらが主流で、家電量販店のデジカメコーナーやビデオカメラコーナーの三脚売場に置いてあったり、ホームセンターなどでも売っています。
小型で軽量、持ち運びも楽で、ちょっとした家族写真や運動会など、日中の撮影に適しています。
廉価小型三脚は脚と雲台が一体化しているものが多く、雲台を取り外すことがきない構造になっています。また、素材にはプラスチック部品を多く使っているため、搭載できる機材の重量も低めになっています。
カメラ屋さんや電気屋さんで店員さんに「とりあえず三脚も一緒に!」と勧められる三脚です。「何かに使うかもしれないし、とりあえず買っておこうかな」と何も考えずについつい買ってしまう三脚ですが、少し慣れてくると必ず後悔する三脚でもあるので、明確な目的がない限りこの三脚を買うのはやめましょう。安物買いの銭失いとなる可能性が高い三脚です。
本格小型・中型三脚(初心者が最初に買う三脚としておすすめ)
小型三脚・中型三脚はデジタル一眼レフ・ミラーレス一眼カメラを扱う人向きの本格三脚です。三脚専門のメーカーのラインナップも豊富で、後からご説明する「雲台」という架台と分かれているものが多く出回っています。
小型と中型の定義は脚の高さや脚の太さで分別されることが多く、小型三脚はAPS-Cサイズの一眼レフやミラーレス一眼カメラ、重いレンズを装着しないフルサイズ一眼などを装着できます。小型で軽く、持ち運びがしやすい反面、カメラやレンズの積載重量は低めに設定されています。
中型三脚はフルサイズ一眼カメラに大口径レンズや、望遠レンズを装着できるタイプもあり、風景や夜景など幅広い用途に使えますが、小型三脚に比べると大きくて重くなる傾向があります。
初心者といえども、最初に選ぶ三脚としては、このあたりのものを選んでほしいところです。用途やカメラの重さに合わせて準備しましょう。
大型三脚
大型三脚は脚の太さが36mm以上あり、脚を最大まで伸ばすと背の高さを超えてしまう非常に大きな三脚です。抜群の安定性とフルサイズ一眼に超望遠レンズなど、とても重い機材まで載せることができますが、本体が大きく、重量も重くなるため、持ち運びには不向きです。風の強い中での夜景撮影や、超望遠レンズでの野鳥撮影、スポーツ撮影などに向いています。
価格も数万円から十万円を超えるようなものまであり、初心者の方が最初に買う三脚としては不向きです。用途が限られてきますので、撮影シーンを考えて今後のステップアップ三脚として検討してみてください。
一脚
一脚はその名の通り脚が1つで、三脚ではないのですが、関連性が高く、ついでに知識を持っていただくのがいいと思いまして、あえてこのコーナーで紹介させていただきました。
一脚は脚が1つしかないため、携帯性がとても優れているのが特徴です。三脚のように完全に静止させることができないので、夜景撮影や滝、花火の撮影のような長時間露光には向きませんが、手ぶれしやすい縦方向のブレを軽減できますので、日中に移動しながら望遠撮影を行う野鳥撮影や動物の撮影、運動会などのスポーツ撮影に便利です。
三脚と違ってカメラの向きを即座に変えることもできますので、動きの激しい被写体を撮影するにも向いています。三脚とは別に1本持っておくと便利です。
三脚の脚の材質はアルミニウムとカーボンの2種類
三脚の種類を一通り身に着けたら、次は三脚の要(かなめ)である脚の材質について学んでいきましょう。現在出回っている三脚の脚の材質はアルミニウムとカーボンの2種類が主流です。ごく一部のメーカーでは、アルミニウムに銅やマグネシウムが添加されたジュラルミンと呼ばれる材質の脚もありますが、流通量が非常に少ないので、ここでは対象外とさせていただきます。
アルミニウム
アルミニウムは三脚の脚としては昔からある素材で、耐久性の高さと手ごろな価格が魅力です。
メリットとしては、少々の傷や衝撃でも強く、丈夫で長く使うことができます。またカーボン素材に比べると単価が安いため、比較的手ごろな価格で本格的な三脚を購入することができます。
一方デメリットとしては、カーボンに比べると1.3倍ほどの重さがあるため、少し重くなるという点と、衝撃には強いものの、脚をぶつけたりするとへこんでしまい、致命傷となって脚の伸縮ができなくなるなどの弱点も持っています。そのほか、アルミは熱が伝わりやすいため、夏場の炎天下では脚が熱々になり、冬場は脚が冷え切ってしまうなど、持ち運びが大変な一面も持っています。
カーボン
カーボンは炭素繊維で作られている素材で、1990年代後半ごろから三脚の脚として市場に出回り始めてきました。現在ではアルミニウムと並んで三脚の脚の主力素材となっています。
メリットとしては、その軽さと振動減衰力の高さが最大の武器となっています。まず、アルミニウムに比べて2割から3割ほど軽いのが特徴で、大型になれなばるほど、持ち運びのしやすさで有利になります。また、アルミ三脚に比べて振動が伝わりにくい性質を持っていますので、アルミに比べて軽い分、振動しやすいということもありません。こう見ると「アルミニウムに比べると、メリットばっかりじゃん」と思うかもしれません。
しかしカーボンの最大のデメリットとしては、その価格の高さがネックとなっています。近年では小型・中型三脚を中心にカーボン三脚の製造コストも安くなりつつあるため、昔に比べれば比較的安くはなってきたものの、やはり同クラスのアルミニウムの三脚と比べると1.5倍以上の価格差があります。
アルミとカーボンならどちらがいいのか?
これは非常に難しい選択肢であり、いろいろな情報サイトでも、予算に余裕があるならカーボンを選ぶと案内していることが多いですが、必ずしもカーボンを選ぶ必要はないかと思います。
持ち運びを重視するようなシーンで使うのならカーボンを選ぶのに越したことはありませんが、持ち運びをあまりしないようなシーンで使う三脚であれば、安価なアルミにしておくという選択肢もありです。
三脚には耐荷重がある
三脚には耐荷重という、言わば載せられるカメラの重量制限というものがあります。
カメラの重さと言いましても、機種やスペックによってかなり差がありますし、レンズに至ってはペラペラのパンケーキレンズもあれば、スポーツ撮影用の数キログラムもあるような大型の望遠レンズもあります。
三脚にもトラベル用の小型のものもあれば、背の高さをゆうに超えるような大型三脚もあり、三脚のスペックによって搭載できるカメラの耐荷重も変わります。
一般的な耐荷重の考え方は、「カメラ」+「レンズ」+「アクセサリ類」+「雲台」を足した重さで計算します。カメラはカメラ本体の重量、レンズはレンズ本体の重量、アクセサリ類はカメラのバッテリーやネックストラップ、外付けのグリップ、三脚座などが挙げられます。雲台は後述する三脚とカメラの間に取り付ける可動できる架台のことを言います。
例えば、耐荷重が3kgの三脚に、カメラやレンズ、雲台を含めた重さが5kgだった場合、2kgのオーバーとなりますよね。耐荷重を超える機材を載せてしまうと、安定せずにブレがなかなか収まらなかったり、最悪の場合は風や振動でひっくりかえってしまうこともあります。
また、雲台自体にも耐荷重があるため、これも耐荷重オーバーになると、しっかりと固定できなかったり、急に動いてしまったりして思わぬトラブルを招きます。
自分の機材がきちんと三脚や雲台の耐荷重の範囲にあるかどうかも、しっかりとチェックしておきましょう。
三脚の脚の太さ
次に脚の太さを考えましょう。先ほど耐荷重のお話をしましたが、脚が太いほど安定性が向上しますので、重い雲台やカメラを装着できるようになりますし、風などの影響も受けにくくなります。
しかし脚が太いほど大型の三脚になってしまうため、三脚自体の重量が重くなり携帯性が低下します。用途やカメラ・レンズの機材の大きさによって三脚の太さを決めると良いでしょう。

上の図はカメラ用三脚の脚の太さを比較したものです。比較するとその差が大きいことが分かりますね。
- 20mmは超小型のトラベル三脚など、持ち運び重視用 耐荷重はかなり低め
- 24mmは小型三脚に使われている、APS-Cおよび軽めのミラーレス一眼向け
- 28mmは中型三脚で、フルサイズ+小三元レンズ向き 重さと実用面のバランスが良い
- 32mmは中型三脚の本格撮影向き、フルサイズ+大三元レンズもこなす、夜景にも強い
- 36mmは大型三脚の本格撮影向き、フルサイズ+超望遠レンズもOK、野鳥やスポーツ用
脚の段数を理解する
三脚の脚は1本ではなく、太さの違う脚がつながって1本に連結されています。使う時は全部を伸ばして使用し、移動時や使わないときは脚を収納できるようになっています。
この本数が何本にセパレートされているかがポイントで、3本で構成させているものを3段、4段で構成されているものは4段と呼ばれています。これらは明確な違いがあるため、違いを理解して用途に合ったものを選ぶとよいでしょう。
段数が少なければ少ないほど強度や安定性が高くなりますが、収納時は短くできないというデメリットがあり、逆に段数が多ければ多いほどコンパクトにできる反面、強度が弱くなるほか、セットに手間がかかるなどのデメリットがあります。
三脚の多くは3段か4段ですが、トラベルタイプでは5段以上というものもあります、用途や目的に合ったものを選びましょう。
脚のロック方式について
三脚の脚を伸ばした時や途中で止めたいときに、伸ばした脚が縮まないように固定しなければなりませんが、脚のロック方式はねじ込み式(ナット式)とワンタッチ式の2種類があります。
ねじ込み式はネジのように緩めたり締めたりすることで脚の固定や解除が行えます。ワンタッチ式はレバーのようになっており、レバーを開閉するだけで脚の固定と解除が行えます。
手間はねじ込み式のほうがかかりますが、メンテナンスが不要なのがメリット。ワンタッチ式は開閉に便利ですがバネや締め付け力の微調整が定期的に必要です。撮影中にバネの力が弱くなってズルズル動いてしまうこともあるので注意が必要です。
三脚の高さをチェック
三脚の高さはとても重要ですが、三脚選びの中で意外にスルーされているので要注意です。
チェックしておきたい高さは3種類あり、それぞれ全高・EVなし全高・最低高です。

全高は三脚が実現できる最大の高さのこと
全高は脚を標準開脚していっぱいまで伸ばし、且つエレベーターも最大まで伸ばした時の高さのことです。三脚が実現できる最大の高さであり、これ以上上げることはできません。
全高は、スペック上最大まで高さを上げることができますが、実用レベルで使えるかというとそうではありません。エレベーターを上げることは安定性が極端に下がるため、ブレが目立つなど、あくまで緊急用として考えなければなりません。
EV(エレベーター)なし全高は実用レベルの最大の高さ
EV(EVはエレベーターの意味)なし全高は脚を標準開脚していっぱいまで伸ばし、エレベーターは伸ばさずに使用した状態の高さ。エレベーターを伸ばすと不安定になるので、普段の撮影はEVなしの高さで撮影するのが理想です。
最低高
再低高は開脚を最大にし、最もローポジションで撮影できる最低高さのことです。三脚によってはエレベーターポールを取り外すなどの手間が必要になります。

三脚の高さの考え方としては、ご自分の目線の高さを基準に考えます。例えば身長が170cmの人であれば、目線はだいたい160cmくらいになります。カメラの底からファインダーまでの距離が8cmとすれば、雲台を取り付けた高さが152cm以上、雲台の高さが10cmの場合は、三脚のEVなし全高が142cm以上あれば、かがむことなく立ったまま快適に三脚が使用できる高さということになります。
EVなし全高が142cm以下の三脚にしてしまうと、目一杯三脚を高くしても目線の高さまで上げることができません。エレベーターを使えば無理やり上げることができますが、安定性が低くなってしまうためおすすめできません。エレベーターは微調整用として使うことが理想で、常に伸ばして使うことは控えましょう。
全高は小型の三脚ほど低く、大型の三脚ほど高くなる傾向があります。ミニ三脚やトラベル三脚などはいっぱいまで高くしても目線まで届かないものもたくさんありますし、大きい三脚では脚をいっぱいまで高くすると自分の身長をはるかに上回るものもあります。コンパクト性重視の場合は無理に高さを合わせる必要はなく、高すぎる場合は脚の高さを短く調整すればいいだけなので、目安として考えましょう。
雲台を考えよう
「雲台」(うんだい)って何? 初心者の方はと初めて名前を聞く人も多いと思いますが、三脚は雲台を固定する「脚部」と、カメラを自由な方向へ向けて固定させる「雲台」に分かれています。
家電量販店やホームセンターなどで売っている数千円で購入できる小型ファミリー三脚などは、脚部と雲台は一体化しいるため、外すことはできませんが、本格撮影用の三脚は脚部と雲台を別々に購入し、用途によって組み合わせることができます。
初心者の方はまず最初に三脚と雲台をセットになったものを購入すると思いますが、上手な人になると複数の雲台を準備し、用途によって乗せ換えて使っています。
雲台には実にたくさんの種類があり、可動域や使い方も大きく異なりますが、デジタル一眼レフ・ミラーレス一眼カメラ用によく使う4種類の雲台について簡単にご紹介いたします。

自由雲台(ボール雲台)
自由雲台は別名ボール雲台とも呼ばれており、その名の通り構図を決めるのにカメラをぐりぐり自由な方向へ向けることができます。3WAY雲台などに比べてコンパクトな設計のため、持ち運びに向いており、サッと構図を決めて撮ることができるメリットがあります。反面、構図の微調整や水平撮りが難しく、風景などの撮影にはテクニックが必要です。
3WAY雲台
三脚の雲台と言えば、この3WAY雲台をイメージする人も多いかと思います。3WAY雲台は2つの大きなハンドルがあるのが特徴で、グリップを緩めたり締めたりすることでパンやチルト、ロールの操作を個別に行うことができます。構図の微調整や水平撮りが容易で、主に風景撮影に使われいます。反面、カメラの向きをめまぐるしく変えなければならないシーンや、星空のように上方向にカメラを向けたい場合などには向きません。
ギア雲台
ギア雲台は歯車を回して方向を調整する雲台で、構図の微調整をミリ単位で行うことができるのが特徴です。風景の撮影はもちろんですが、シビアなピントや位置合わせが必要なマクロ撮影でも有利です。反面、カメラの向きを目まぐるしく変えなければならないシーンでは、3WAY雲台以上に大変です。また、構造上大きく重くなってしまうデメリットも。止まっているものを撮影するのに適している雲台です。
ビデオ雲台
ビデオ雲台はその名の通りビデオカメラ用の雲台ですが、デジタル一眼レフやミラーレス一眼カメラを載せて使っている人もいらっしゃいます。ビデオ雲台は左右の傾き(ロール)の調整ができず、上下と左右の向き(パンとチルト)だけハンドル一本で変えることができます。滑らかに動かすことができるため、静止画だけでなく、動画を撮影する際にも有利な雲台です。
管理人おすすめの初心者向け三脚
さて、いろいろとウンチクを説明させてもらいましたが、「結局のところ、どれを選んだらいいの?」ということになりますよね。ここでは、使いやすい初心者向け三脚をご紹介したいと思います。
キットレンズを装着した小型のミラーレス一眼向けで、初めて買う三脚としておすすめです。耐荷重が低めなので大きな機材を乗せたり、過酷な環境で使うことは難しいですが、軽くて使いやすいので、ステップアップした場合でもサブの三脚として十分使えます。
価格は少し高めですが、「せっかく買うのなら最初からしっかりしたものがいい」という方におすすめの三脚です。こちらも小型のミラーレス+キットレンズ向けのカメラに適した三脚です。風景はもちろん、安定しているので夜景の撮影にも使えます。
カメラの三脚の基礎知識 まとめ
- 三脚はブレ軽減や構図の固定、自分撮りなどの目的で使う
- 三脚は用途や機材の大きさなど、たくさんの種類に分かれている
- 脚の素材はアルミとカーボンがあり、カーボンの方が何かと有利
- 脚が太いほど丈夫で堅牢度が上がるが、持ち運びには不向きになる
- 段数が少ないほど安定度が増すが、携帯性は悪くなる
- 自分の目線の高さを考えながら、三脚の高さを選ぶ
- 雲台も用途によってさまざまなものがあるので、合ったものを選ぶとよい
三脚はとても奥が深いので、「安物でもいいやと」適当に選んでしまうと後悔することもあり、初心者とは言えしっかりと選ぶ必要があります。カメラ選び並みに要素が多い三脚ですが、自分にぴったりのものを見つければ長く使うこともできます。上記を参考に三脚の特徴を理解し、購入の目安に役立ててみてください。