安定感があってカッコイイということから、写真構図の中でも人気が高いシンメトリー構図。シンメトリーとは左右上下が対称という意味で、写真構図だけでなく美術や建築の分野でも多く使われており、たくさんの場所でシンメトリーな構図を撮ることができます。
ここではシンメトリー構図についてご紹介したいと思います。
世の中にはシンメトリーなものであふれている
シンメトリーは対称という意味で使われ、シンメトリー構図はフレームを十字で区切り、中心から左右または上下対称に被写体を配置した構図のことを言います。
シンメトリーなものは身の回りのものはもちろん、建造物や造形物など、普段私たちが生活している中でも容易に見つけることができますので、上下左右が対称になっているものを見つけたら、迷わずシンメトリー構図で撮ってみるとよいでしょう。
シンメトリー構図は日の丸構図とも似ていますが、シンメトリー構図ではフレームの大半を使って対称を表現することが基本です。小さい被写体であれば、できるだけ寄って撮影するほうがよいでしょう。
上の写真はシンメトリー構図の悪い例。丸い窓とその周辺部はシンメトリー化していますが、周囲のバランスが悪いため、単なる日の丸構図化しています。この場合は、中心部だけクローズアップして撮影することで、きれいなシンメトリー写真にすることができます。
左右対称で撮影してみよう
シンメトリー構図は日の丸構図ともちょっと似ていますが、建物や橋など人工物は左右対称となっているものが多いですね。ちょうどファインダーの中心に被写体を移動し、綺麗に左右が対称になるように撮影してみましょう。
躍動感はなくなりますが、整列感、奥行き感を表現することができます。
上の写真は北海道にあるジェットコースターの路です。左右の自然の景色は違うものの、道路をちょうど中心にしてシンメトリー構図にしてみました。
寺院や神社など、和室の構図もシンメトリーにしやすいですね。水平に注意して傾かないように撮影するのがコツです。
左右対称の建物は、容易にシンメトリー構図にできます。フレームの中心に配置することで、建物を美しく見せることができます。
橋や橋脚もシンメトリー構図がしやすい被写体です。
水面反射などを使えば、上下のシンメトリー構図も可能
シンメトリー構図と言えば左右対称ですが、写真の世界では上下のシンメトリー構図も可能です。よく使われる上下のシンメトリー構図と言えば水面反射によるリフレクションであり、これを使えばシンメトリーが難しい自然の情景もうまく対称にすることができます。
上の写真は水面反射を使って風景をシンメトリー構図にしてみました。池の周りの景色などは、鏡に映る逆さ〇〇が人気ですね。
工場夜景なども水面に反射させることで上下のシンメトリー構図が可能になります。
シンメトリー構図は角度と位置に注意
シンメトリー構図を美しく見せるためには撮影する角度と、中心位置をしっかり合わせる必要があります。水平を保てずに角度がずれてしまうと台無しになってしまいますし、中心位置がずれていても綺麗に収まりません。
失敗写真で多いのが、上の写真のように角度がずれて水平になっていないケース。特に手持ち撮影で起こりやすく、自分ではまっすぐ撮ったつもりなのに、後から見返してみたら「あれっ何か斜めになってる!」というのはよくあります。
最近のデジタル一眼レフ・ミラーレス一眼カメラには電子水準器が搭載されているものがありますので、それを見ながら水平を合わせて撮影するか、グリッド線などを表示して、水平を合わすようにしましょう。
これは中心位置がずれてしまっているケース。少しでもずれてしまうと左右のバランスが悪くなり、体裁の悪い写真となってしまいます。水平を保ちながら、左右のバランスも整えなければならないので、手持ち撮影ではかなり難しいのがネックです。
両者の問題も、ある程度の誤差であれば現像ソフトの角度調整やトリミングを使えば修正することができます。失敗しないように何枚も撮影しておくことが美しいシンメトリー構図写真を撮るコツです。
シンメトリー構図 まとめ
- シンメトリー構図はフレームの中心を軸にして左右対称に配置した考え方
- シンメトリー構図に動きや躍動感はないが、整列感や奥行感を表現できる
- 身の回りの物から建物など、人工物の多くでシンメトリー構図が使える
- 対称になる被写体はできるだけフレームいっぱいに入れる
- 水面反射などを使えば、上下のシンメトリー構図も可能
- 角度や位置がずれてしまうととても不自然な写真になるので注意する
シンメトリー構図はいろいろな場面で使えることが多く、左右対称の被写体であれば、とりあえずシンメトリーで何枚か撮っておくことが大切です。シンメトリー構図の難易度は比較的低く、初心者の方でも自分のものにしやすい構図です。手軽にカッコイイ写真を撮るなら、シンメトリー構図を是非使ってみてください。