測距点(フォーカスポイント)とAFの種類

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カメラで撮影するときに、当たり前のようにピントを合わせて撮っていますが、オートフォーカスでピントを合わせるには、測距点(フォーカスポイント)とAFの性能が関わっています。
ここではカタログや性能指標の1つとなる測距点とAFの種類についてご紹介したいと思います。

測距点(フォーカスポイント)って何

測距点(そっきょてん)とは別名「フォーカスポイント」や「AFフレーム」とも呼ばれており、オートフォーカスでピントを合わすことができる目印やポイントのことを言います。

デジタル一眼レフカメラのファインダーを見てみると、カメラのフレームの中に四角い枠が並んでいます。この四角いポイント1つ1つが測距点と呼ばれるもので、ピントを合わせたい被写体と測距点を重ね、シャッターボタンを半押し、またはAFボタンを押すことでピントを合わせることができるようになります。

測距点の数はカメラによって決まっており、入門機で9~11個、中級機で30~40、上位機になると60を超えるような機種もあります。(2023年現在、CanonではEOS KissX10iなど入門機でも測距点が45個もあるような機種も登場し、今後は入門機でも測距点が増えていく傾向にあります)

止まっている被写体を狙う場合であれば測距点が少なくても問題ないですが、動いている被写体や小さい被写体を狙う場合は測距点が多いほどピント合わせが楽になります。

一眼レフカメラのフォーカスポイントの比較

上の図のように入門機の測距点は数えるほどしかないのに対し、ハイクラスのデジタル一眼レフカメラになると、測距点が多くなります。測距点が多くなると、ピントが合わせやすくなり、特に激しく動く被写体(スポーツ撮影や鳥、飛行機など)に対して威力を発揮します。(枠にかかってさえいればピントを合わせることができるため)

測距点が多いとピントを合わせる範囲も変えられる

測距点が多いと、ピントを合わせる範囲を1点だけでなく、範囲やグループとして拡張することができます。こうすることでより柔軟にピントを合わせることができるようになります。

測距点が多いとピントを合わせる範囲も変えることができる

1点は従来通り1つの測距点のみでピントを合わせますが、ゾーンAFでは測距点を拡張して9つに増やすことができ、位置も思い通りに変更することができます。さらにエリアを左・中央・右に分けたゾーン選択など、大きい測距点として使うことも可能です。

自動選択では、大きな枠に被写体がかかればどこにいてもピントを合わすことができます。

測距点はなぜフレームの中央に寄っているの?

デジタル一眼レフカメラには、ピントを合わせるための専用センサーが内臓されています。普段は隠れていて外からは見えませんが、手動でミラーアップをさせるとイメージセンサーの手前下にAFセンサーのレンズが見えます。

一眼レフカメラのAFセンサー

レンズを外して「手動センサークリーニング」などを設定すると、ミラーが上がって底にAFセンサーのレンズが見えます。(デリケートな部分なので見るだけにしておきましょう)

このAFセンサーは、フレームの中央ほどピントを合わせる精度が高くなり、端の方になればなるほど精度が低くなる性質があります。言い換えますとフレームの端のほうはピントを合わせることができません。

一眼レフカメラでオートフォーカスが使える範囲

フレーム対して薄いオレンジ色の部分はピントを合わせることができる範囲で、一般的にはこのゾーンの中にAF枠(フォーカスポイント)が配置されています。カメラによっては中央部付近では更に高精度でピント合わせができるものもあります。フレームの端に近い黄色い部分はピント合わせができない範囲です。

しかしこの範囲はカメラによって大きく差があり、高精度のピント合わせができる範囲が広かったり、複数あったり、ピント合わせができる範囲がかなり広いものなどさまざまです。

カメラによってオートフォーカスが使える範囲は違う

カメラBは高精度ピント合わせができる範囲が多く、またカメラCはフレームの端までピント合わせができるようなものもあります。

ミラーレス一眼のフォーカスポイントはさらに多い

後述する像面位相差方式を採用している近年のミラーレス一眼カメラは、フォーカスポイントがとても多く、入門機でも数百、中級機や上級モデルともなると、数千のフォーカスポイントが選択できるため、なめらかにフォーカスポイントが移動できます。

オートフォーカスの種類

オートフォーカスの方法の種類は、カメラによって違いがあります。前述で説明したものは一眼レフカメラ等で採用されている位相差検出法式と呼ばれるものですが、別の方式のタイプも存在します。ここで1つずつ確認していきましょう。

位相差検出方式

位相差(いそうさ)検出方式は一眼レフカメラ(ミラーレスを除く)で採用されているピント合わせ方式で、ピント合わせ専用のセンサーがレンズを通った画像のズレ幅を瞬時に計算してピントを合わすことができます。

メリットとしては、非常に素早くピントを合わすことができることと、動き回る被写体に関しては、動く速度やズレ量も加味して予測でピントを合わせてくれる機能もあるため、ピントを外しにくい利点があります。

一方で他のピント合わせ方式に比べると、ピントを合わせる精度が少し低いため、ガチピンにしたい風景などは、ピントを外してしまう恐れもあります。また前述しましたが、カメラによってフレームの端はピントを合わせることができないデメリットがあります。

ピント合わせがスッと速いですね。
(ファインダーを撮影しているため、見にくいですがご容赦ください)

コントラスト検出方式

コントラスト検知方式は一旦出力した画像データをコンピューターが解析して、最もピントが合っている所(コントラスト差が大きい所)をレンズを動かしながら探す方式です。 旧式のコンパクトデジカメ、スマートフォン、ミラーレス一眼カメラに搭載されている機能で、一眼レフカメラでも液晶画面を見ながら撮影するライブビューモードの場合は、この方式が使われます。

ピントが合うまでに時間がかかるという弱点がありますが、フォーカスポイントを必要としないため、画面の任意の場所でピントを合わすことができます。 専用のセンサーが必要ないので、カメラが小型化できるメリットもあり、またピント合わせの精度が非常に高いため、風景や景色、物撮りなど止まっているものを撮影するときには有効です。

しかし近年では後述する像面位相差方式の精度が格段に上がり、コントラスト検出方式を採用するカメラは少なくなってきました。今後は淘汰されていく方式になりそうです。

コントラスト検出方式はピント合わせの速度は遅いですが、精度は高めです。

像面位相差方式

像面位相差(ぞうめんいそうさ)方式は、コントラストAF方式に変わる新しいAF方式で、位相差検出AFに迫るピント合わせのスピードと、広い範囲のピント合わせが可能という特性を持っています。

近年のミラーレス一眼では多く搭載されている方式ですが、Canonでは「デュアルピクセルAF」と呼ばれており、一眼レフカメラのライブビュー撮影でもこの方式を採用しているものが多くなっています。

以前は位相差検出方式と比べるとAF速度も精度も低かったですが、近年では技術が向上し、今後の主力AF方式になっていくことでしょう。

3つのAF方式の違い

一眼レフカメラに搭載されている位相差検出方式と、像面位相差方式は、その差はほとんどなくなりつつあります。ピントを合わせる範囲が広い(機種によってはほぼ100%もある)ので、汎用性は像面位相差方式に軍配が上がるでしょう。

位相差検出方式コントラスト検出方式像面位相差方式
搭載されているカメラ一眼レフ一眼レフ(ライブビュー時)
ミラーレス一眼(旧式)
コンデジ・スマホ(旧式)
一眼レフ(ライブビュー時)
ミラーレス一眼(新式)
コンデジ・スマホ(新式)
ピント合わせの精度中央部ほど高いどこでも非常に高いどこでも非常に高い
ピント合わせの速さ非常に速い遅い非常に速い
ピント合わせができる範囲
止まっているものの撮影◎機種による
動いているものの撮影◎機種による

ラインセンサーとクロスセンサー

一眼レフカメラのAF(オートフォーカス)センサーには3種類あり、それぞれラインセンサー、クロスセンサー、デュアルクロスセンサーと呼ばれています。

詳しく説明すると話が長くなるのでここでは省略しますが、簡単に説明するとラインセンサー縦や横、斜めがありそれぞれセンサーの線に対して垂直方向の被写体であれば、ピントが合いやすくなりますが、水平方向の被写体だとピントが迷うことがあります。そこで、1つのセンサーに縦・横・斜めのセンサーを複合させることで、どんな方向の被写体であってもピントを捉えやすくする構造がクロスセンサーと呼ばれるものです。

AFセンサーの違い

一般的にはラインセンサーよりもクロスセンサー、さらにはデュアルクロスを搭載した一眼レフカメラのほうがピントが合いやすくなっています。
高級機になればなるほどクロスセンサーを採用しているカメラが多くなりますが、最近では入門機でも導入されているカメラもあります。 フォーカスポイントの中央だけクロスになっているものや、全てのフォーカスポイントでクロスになっているものなども違います。

カタログなどの「仕様」という部分で、フォーカス関係の部分を見てみると、どのセンサーを採用しているか記載されているので気になるようなら確認してみましょう。

ラインセンサーやクロスセンサーは、位相差(いそうさ)検出方式を搭載した一眼レフカメラに限られますので、ミラーレス一眼カメラは対象外です。

F2.8・F5.6・F8対応AFセンサーって何?

よくカタログや商品説明などで、「F2.8対応AF」や「F8センサー搭載」などと表記してあるカメラがありますが、これはどういう意味なのでしょうか。

一般的なデジタル一眼レフカメラの測距点は開放F値がF5.6に対応したセンサーが使われています。ですから開放F値がF5.6以下のレンズに使用することができます。世の中にある交換レンズの大半は開放F値がF5.6以下なので、通常はこのセンサーを搭載しておけば問題ありません。

しかしカメラの中にはF2.8以下の明るいレンズに対応したセンサーを追加で搭載しているものがあります。明るいレンズを取り付けたときにより精度の高いセンサーを使うことで、ピント合わせの正確性が向上します。主に中央付近の測距点でF2.8に対応したセンサーが使われているカメラがあります。

また、望遠レンズなどに倍率を上げるテレコンバーター(エクステンダー)などを装着すると、開放F値がF8になってしまうものがあります。開放F値がF5.6のセンサーに、F8のレンズを取り付けてしまうと、光束が違うためピント合わせができません。しかしF8に対応したAFセンサーが搭載されていると、開放F値の暗いレンズを取り付けても、きちんとピント合わせをしてくれます。

測距点(フォーカスポイント)とAFの種類 まとめ

  • 測距点はフォーカスポイントのことで、ピントを合わせるための枠のことを言う
  • 測距点が多いほど、ピント合わせが有利になる
  • カメラの構造上、測距点はフレームの中央寄りになることが多い
  • オートフォーカスの種類には、大きく3種類に分かれる
  • それぞれメリットや不得意な点がある
  • 近年の主流はミラーレス一眼に搭載されている像面位相差方式
  • ラインセンサーよりクロスセンサーのほうがピントが合いやすい
  • F5.6よりもF2.8のほうがピントが合いやすい

近年では像面位相差方式が主流になりつつあり、フォーカスポイントも格段に増え、初心者でもピントが合わせやすくなりました。上記を参考にしながらAF方式の意味を理解してみてください。

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