三脚に取り付ける雲台の種類や特徴

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三脚とカメラの間に取り付ける架台のことを雲台と呼び、ちょっと良い三脚を買うと、脚と雲台は別々で取り付けることができます。雲台には様々な種類があり、用途に合ったものを選ばないと、とても使いづらかったり、思わぬ事故を招くことも・・・ ここでは三脚に取り付ける雲台の種類や特徴についてご紹介していきたいと思います。

雲台とは

雲台とは、三脚とカメラの間に取り付ける架台のことで、カメラの任意の方向へ向けたり、向けた方向を維持したまま固定させたりするものです。

三脚の脚だけでは自由にカメラの向きや角度を変えることができないため、三脚に雲台を載せることで「カメラを向けたい方向に向けて固定する」ことができるようになります。

雲台とは

カメラ初心者の方では、「三脚を買えばそういうのは付いているのでは?」と思われがちかと思います。

確かにホームセンターや家電量販店のカメラコーナーの片隅に展示してあるような、数千円で買える低価格帯の三脚は脚と雲台が一体化しているもが多く、三脚を買えば雲台も付属していることが一般的です。

しかし、おおむね1万円以上するような本格撮影向きの三脚は、脚と雲台が別々になっており、自由な組み合わせで使うことができるようになっています。言い換えますと、一眼レフカメラやミラーレス一眼カメラと同じで、ボディとレンズを組み合わせるような考え方です。

三脚も上下セットと呼ばれているものがあり、小型三脚を中心に脚と雲台がセットになった三脚がたくさん出回っています。いわゆるカメラのキットレンズと同じですね。上手な組み合わせのものを選べば、別々で買うよりも安く購入することもできます。

雲台の種類

三脚を使って撮影するシーンとしては、風景や夜景、星空はもちろん、モータースポーツ、鉄道、飛行機、野鳥、運動会、自分撮りや集合写真など、それぞれどんな用途で使うかは様々です。

雲台もそのシーンにおいて得意・不得意があり、風景や夜景が得意なもの、スポーツ撮影が得意なものなど、雲台によって撮影しやすかったり、そうでないものがあります。

闇雲に三脚と雲台を何となく手に入れても、ご自分の用途に一致したものを選ばないと後悔してしまうので、それぞれの雲台の種類と特徴をここでしっかりと押さえておきましょう。

3WAY雲台(スリーウェイうんだい)

3WAY雲台(スリーウェイうんだい)とは、カメラを様々な方向へ向ける基本である3方向(パン・チルト・ロール)をそれぞれ独立して動かしたり、固定して使う雲台です。大きな2つのハンドルでカメラのチルト(上下)とロール(回転)を調整し、付け根にある小さなダイヤルやハンドルでパン(方向)を変えることができます。

3WAY雲台

カメラ用の三脚としては3WAY雲台が最もポピュラーであり、三脚撮影と言えばこの雲台をイメージされる方も多いかと思います。三脚・雲台市場で出回っているものでも、3WAY雲台が一番よく出ていますし、風景の名所など、有名な撮影地へ行けば、大半の人はこの3WAY三脚を使っています。

3WAY雲台は、各方向を独立してロック、アンロックすることができるため、構図の微調整がしやすく、風景や夜景など、じっくりと構図を追い込んで撮影する用途に向いています。また、静物や物撮り、集合写真など被写体が動かず、固定されたものの撮影にも適しています。

一方で、スポーツや野鳥など被写体が動き回るようなシーンや、構図をスピーディーに変えていくようなシーンなどには向いていません。

また、ハンドルが大きくかさばってしまうため、携帯性が劣る点も3WAY雲台の宿命になっていますが、ハンドルを取り外すことができるモデルもあります。

自由雲台(ボール雲台)

自由雲台は、別名ボール雲台とも呼ばれており、その名の通りカメラを自由な方向へ向けることができる雲台です。1つのハンドル(ダイヤル)のアンロックでチルトとロールを一気に変えることができるため、素早い構図の変更など、レスポンスの早い対応ができます。

自由雲台

自分の首と同じようなイメージを持っていただければわかりやすいと思いますが、被写体が動き回るシーンや、花火、滝などの撮影におすすめです。また、自由雲台はコンパクトな設計な割に耐荷重が高く、あまり場所も取らないため、旅行やトレッキング、街歩きなどのトラベル三脚との相性がよいのもメリットの1つです。

一方で、じっくりと構図を作って追い込むようなシーンでは構図の微調整が難しいのがネックです。例えば上下方向だけ変えたり、回転方向だけ変えるなどは苦手です。

ギア雲台

ギア雲台は3WAY雲台の上位互換のような位置づけで、風景や建築写真、商品の物撮りに特化した雲台です。

ギア雲台

基本的な動きは3WAY雲台と同じで、パン・チルト・ロールが同じように独立してロック、アンロックできますが、ギア雲台はノブやダイヤルを回すことで、ロックしたまま向きを変えることができます。

ギア雲台は国産三脚メーカーであるスリックやベルボンなどからは発売されておらず、イタリアの三脚メーカーであるマンフロットや、中国のベンロ、スイスのアルカスイスなどが有名です。

通常の3WAY雲台であれば、ハンドルを緩めてから構図を動かし、ハンドルを締めなおす・・・構図が気に入らなければまたそれの繰り返しになりますが、ギア雲台はロックしたままダイヤルを回すだけで歯車が回転し、少しずつカメラを動かすことができるため、微調整がとてもしやすいメリットを持っています。

ロックを解除してしまえば、大きく構図を変えることができますので、チマチマダイヤルを回し続ける必要もありません。大まかに構図を合わせてロックし、微調整はダイヤルで追い込むようなスタイルで撮影を行います。

風景・夜景・建築・静物・物撮りなど、じっくり構図を整えて撮影するシーンにギア雲台はおすすめです。逆に構図をどんどん変えるようなシーンでは非常に使いづらい性質を持っています。

デメリットとしては、重量が重い・価格が高い・衝撃に弱いの3拍子が揃っています。一般的な3WAY雲台に比べると同じ耐荷重で1.5倍~2倍くらいの重さがあり、価格も2倍以上、また落下や衝撃に弱いので、取り扱いには注意が必要と、やや上級者向けの雲台と言えます。

ビデオ雲台

ビデオ雲台はその名の通り、ビデオカメラを取り付けるのを前提とした雲台です。1本の長いハンドルがついており、可動部の中には潤滑油が入っているため、カクカクせずに滑らかな動きで構図を移動することがきます。

ビデオ雲台

ビデオ雲台の基本は構図をロックさせずに、すぐ動かせるようにフリーの状態になったまま構図を決めて撮影をします。ハンドル1本でパンとチルトを一度に操作でき、なめらかに構図移動ができるため、スポーツ、野鳥、運動会などの静止画・動画に威力を発揮します・昔はビデオカメラに取り付けるムービー雲台でしたが、近年ではビデオカメラも超小型化が進み、このような雲台で撮影するスタイルは一部の大型ビデオカメラ以外少なくなってきました。

一眼レフやミラーレス一眼カメラの撮影では、あまりなじみのない雲台ですが、バランスの調整をうまく行えば、軽い操作で重いレンズを操ることができるため、望遠・超望遠レンズでスポーツや野鳥などを撮影するシーンではよく使われています。

一方でロール操作ができないため、カメラを斜めに傾けたり、縦構図にするようなシーンでは使えません。ビデオ雲台は用途が限られるため、初心者の方ではあまり使うシーンは少ないと思いますが、予備知識として頭の中に入れておくとよいでしょう。

雲台の耐荷重を考えよう

雲台には耐荷重というものがあり、各メーカーが「ここまでの重さまでなら実用レベルで使用できる目安」を設定しています。小型三脚用の小さい雲台では耐荷重が低めに、大型三脚用の大きい雲台では耐荷重も高めに設定されています。

ほとんどは雲台のスペックに記されており、例えば耐荷重が4キロと表記してあれば、雲台の上に載せるカメラ+レンズの合計の重さが4キロ以内であれば、問題なく使える目安ということになります。

ただこれはあくまで目安であり、絶対ではないことを頭に入れておきましょう。

例えば、一眼カメラに望遠レンズを取り付けたものを手で持ってみるとします。Aは三脚座に部分を持ちました、Bはカメラの底部を持ちました。Aは比較的軽い力でカメラを保持できますが、Bはとても重くて持っていられません。

シーソーと同じでテコの原理が働くため、重心が支点に近ければ近いほど軽い力で保持できます。雲台もこれと同じであり、カメラと望遠レンズのセットのものを雲台に取り付けた場合、三脚座にセットしたものと、カメラに直接セットしたものでは、負荷の違いは雲泥の差になります。

前者では保持することはできますが、後者では保持できずにカメラが動いてしまったり、最悪バランスが崩れて三脚ごと倒れてしまう恐れもあります。

耐荷重は車の積載重量のように法律で統一化されていませんので、メーカーの独自の数値が出ていますから、耐荷重ギリギリのものを買ってしまうと、たとえ耐荷重以内であっても、載せる機材の種類や固定位置によっては正しく保持できない可能性があります。

雲台の耐荷重目安

目安として耐荷重を選ぶ場合は、自分の持っている最大機材の2~3倍以上の耐荷重のものを選ぶようにしましょう。(例えば自分の機材がカメラ+レンズで2キロだった場合、三脚は耐荷重5キロ以上のものを選ぶなど)

これとは別に、三脚の耐荷重は「雲台+カメラ+レンズ」を足した重さです。三脚を選ぶ際も耐荷重は、これらを載せた重さの2倍以上のあるものを選ぶとよいでしょう。

直付けかクイックシューか

カメラを雲台に取り付ける際は、カメラの底にある三脚取り付けネジ穴を使います。これは規格で統一されており、どのメーカーのどのカメラであっても、1/4インチネジという規格のネジ穴が開いているため、ネジ穴に困ることがありません。

雲台にもカメラを取り付ける部分にネジ山が飛び出しており、このネジ山にカメラを取り付けることで固定させます。

カメラと雲台との固定方法には2種類あり、1つは雲台に直接固定する方法と、クイックシューと呼ばれるプレートに取り付ける方法があります。

雲台へ直付けするタイプ

雲台のカメラを置く台がそのままネジ山になっているタイプです。設置面積が広く、安定性も高いので、大型のカメラやレンズを搭載させるのに適しています。また、一旦取り付けてしまえばクイックシューのように取り付け不要で外れてしまうような心配もなく、終始安心して使えるのが特徴です。

ただし、取り付けは取り付け座の底面や雲台自体をくるくると回して固定する必要があるため、セッティングには少し時間がかかります。また、カメラや三脚座に装着されたレンズを交換する際は、一度外してまた装着しなおす手間がかかるため、機材を目まぐるしく変えるシーンなどには向きません。

一つの機材でじっくりと撮影するシーンなどにおすすめです。

クイックシューを使うタイプ

多くの雲台で採用されているモデルで、クイックシューと呼ばれる脱着可能なプレートにカメラやレンズの三脚座を取り付けるタイプです。あらかじめプレートを取り付けておけば、ワンタッチで雲台に脱着が可能です。クイックシューをカメラやレンズの数だけ準備して装着しておけば、機材を変更するときも、簡単に外して装着できるため、手間なく素早いアクセスが可能となります。

デメリットとしては、小型の雲台ではクイックシューの面積が狭くなるため、保持力や安定性が弱まったりしますし、取り付け不良を起こしたり、うまく装着されていない場合、下手をすると落下させる恐れがあるため、確実に装着されているかチェックをする必要があります。

結局どの雲台がおすすめ?

3WAY雲台自由雲台ギア雲台ビデオ雲台
風景
夜景
星空
花火
物撮り
花・マクロ
鉄道
航空・野鳥××
スポーツ××
自撮り・集合写真

上の表は大まかな撮影シーンと各雲台の相性を記したものになります。最も適合していて非常に使いやすいものは◎、無理なく使用できるものは〇、できなくはないがちょっと大変が△、出来ない・やめたほうがいいものは×としてあります。

さまざまな撮影シーンで使うのであれば自由雲台一択

これから初心者の方が三脚を選ぼうとしていて、どんなシーンで使うかをなかなか絞れない場合や、後々さまざまなシーンで三脚を使うかもしれないのであれば、自由雲台を選びましょう。

自由雲台を選んでおけば、大半の撮影シーンはこなすことができます。苦手とされる風景撮影やブツ撮りであっても、慣れれば微調整も可能。価格も比較的手ごろで、コンパクトで持ち運びにも有利ですので、撮影シーンを選ばないのであれば、まずは自由雲台をチョイスしましょう。

撮影シーンが風景や物撮りなど、固定構図限定なら3WAY雲台を

撮影するシーンが風景のみ場合や、スタジオフォト、物撮り、集合写真など構図を固定して撮影するシーンに限定する場合は、扱いやすい3WAY雲台を選びましょう。

予算に余裕がある場合はギア雲台でも構いませんが、重くなるため移動や持ち運びが多いシーンには不向きですし、使いどころが限られる雲台でもあります。

野鳥・航空・鉄道・スポーツ撮影や動画撮影ならビデオ雲台を

動いている被写体を追いながら撮るシーンや、動画撮影をメインにするのであれば、ビデオ雲台を選ぶようにしましょう。

三脚に取り付ける雲台の種類や特徴 まとめ

  • 雲台とは、三脚とカメラの間に取り付ける架台のこと
  • 3WAY雲台は風景や集合写真などの撮影をメインに最も普及している雲台
  • 自由雲台はコンパクトで汎用性が高く、様々なシーンに使える
  • ギア雲台は風景や物撮りのスペシャリストだが、やや上級者向けの雲台
  • ビデオ雲台は動画撮影や望遠でのスポーツ、野鳥撮影などにおすすめ
  • 雲台の耐荷重は自分の機材の2倍以上のものを選ぶ
  • 雲台への取り付けは直付けとクイックシューを使う2種類がある
  • 初心者であれば自由雲台か3WAY雲台のどちらかを選ぶとよい

このように雲台の種類も多岐にわたっており、ご自分の用途と一致させた雲台を選ばないと、とても使いにくかったりしますので、撮影シーン合った雲台を選ぶことが大切です。上記を参考にしながら、ご自分にぴったりの雲台を探してみてください。

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